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 論説 :  衆院区割り勧告/地方の声が届く改革に
 衆院小選挙区の「0増6減」と「1票の格差」是正のための新たな区割りの改定案を、衆院選挙区画定審議会が安倍晋三首相に勧告した。

 区割り改定によって、自分の住所地の選挙区が変わるのかは、有権者の選挙権を保障する観点から最も重要な基本情報だ。国や自治体には新たな区割りの周知徹底が求められる。

 青森、岩手、三重、奈良、熊本、鹿児島の6県で定数を1減にするとともに、格差を2倍未満に抑えるため区域変更が必要な13都道府県を含め、計19都道府県の97選挙区で区割りを見直す。

 政府は勧告を反映した公選法改正案を5月の大型連休後に国会に提出。今国会で成立すれば、1カ月の周知期間を経て、7月ごろ新たな区割りが施行される見通しだ。

 小選挙区の定数配分は、2020年の国勢調査の結果を踏まえ、新たな配分方法「アダムズ方式」に基づいて再度検討されることになっているが課題は残る。大都市圏への人口集中の流れが止まらない中で、人口比だけを厳格に適用すれば、地方の議員定数はさらに減少していく可能性が大きい。

 衆院に導入された小選挙区比例代表並立制の選挙が1996年に初めて実施されてから21年が経過し、最近の選挙では、得票率以上の割合の議席が多数を占めた政党に配分される小選挙区制の現状が指摘される。地方の声をどう届けるかの観点も含め、選挙制度の抜本的な改革の議論に取り組む必要があろう。

 衆院の「1票の格差」について、最高裁は格差が2倍を超えた2009、12、14年の衆院選を3回連続して「違憲状態」と判断した。これに対し、衆院議長の下に設置された有識者調査会は昨年1月、小選挙区6減、比例代表4減の定数10削減と、あらかじめ各都道府県に定数1を割り振る「1人別枠方式」をやめ、人口比をより正確に反映する「アダムズ方式」の採用を答申した。

 これを受けた与野党の議論では、民進党が10年国勢調査結果を直ちに反映させる小選挙区「7増13減」案を提起したが、小選挙区に現職議員を多く抱える自民党はアダムズ方式の適用を20年国勢調査に先送りし当面は「0増6減」とする案を示し、この案が成立した。

 最近の司法は「法の下の平等」を重視し、「1票の格差」の是正に厳格な姿勢を示している。もちろん厳守しなければならない基本原則ではある。ただ人口比を貫くだけでいいのかとの視点からの議論は行うべきだ。今回の改定でも多くの市区町村が別々の選挙区に分割される。自分の選挙区が分かりにくくなれば、選挙を身近に感じられなくなる懸念がある。

 財政再建が求められる中、各党が「身を切る改革」として定数削減を主張してきた。しかし有権者の多様な声を吸い上げるには議員定数を増やすという議論もあってもいいのではないか。

 その場合には「二院制」の下での衆参の役割や機能の在り方を再考し、両院の選挙制度を関連させて見直しを検討すべきだ。国会では衆参別々に議論が行われているが、これを統合して抜本的な改革に取り組まない限り、今後も課題は残り続けることになる。

('17/04/21 無断転載禁止)

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