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 健康生活 : 注目・医療最前線(8)ストレス時代のメンタルヘルス

 島根大学医学部の協力を得て最先端の医療技術を紹介する「医療最前線」の8回目は、さまざまなタイプの精神科神経科疾患とその対処法について同大医学部の堀口 淳教授に寄稿してもらいました。

1.こわい“うつ”、だが治る“うつ”

 日本はうつ病患者が増加し、それによる自殺が重大な問題となっています。自殺死は交通事故死の約3倍です。精神医学研究から自殺の既遂者の9割ほどは、死の直前に「うつ」がみられると報告されています。つまり、自殺の大半は病死ということになります。ここまでニッポン丸が疲れてくると、「うつ」も増えるわけです。

 一方、実際に最近増加したのは「軽いうつ」です。引っ越しうつ、単身うつ、荷下ろしうつ、昇進うつなど、環境変化が契機となる場合もあります。「うつ」は心のたるみではなく、頭の病気ですので、大部分は適切な治療で治ります。

 真面目、熱心、責任感が強い人にみられやすく、それはそれで立派な性格ですが、そのため本人は具合が悪くともギリギリのところまで頑張ってしまいます。ですから周囲から「ガンバレ!」は禁物です。ご本人はますます周囲に迷惑をかけていると思い込み、自殺に走ります。

写真1 カウンセリング・心理検査風景
 治療は一に休養、二に薬です。復職などの重要な決めごとは、治ってからにしましょう。具合の悪いときには健康な判断ができないからです。

 表1のテストに挑戦してください。合計点が50点以上だと、表2の西田講師の外来受診をお勧めします。

2.思春期のこころの問題や不登校も!

 思春期外来では思春期に抱える、こころとからだの問題について、専門的な立場から診断、治療を行っています。対象は、こころや体の不安定などのために学校に行けなくなる不登校や、頭痛や腹痛などの一見は体の病気に見えるが実は心の不安などが原因となっている心身症などです。

 主として、思春期(高校生まで)に対応しており、カウンセリング=写真1=や心理療法=写真2=を行います。主として思春期(高校生まで)に対応しています。担当は稲垣准教授と和氣医師および臨床心理士です。

写真2 心理療法のひとつである箱庭療法
砂箱の中に人形やおもちゃなどの色々なアイテムを自由に配置させることで、人の心理状態を分析します。またその砂場遊びのような行為そのものに人の心を癒す効果もあります。箱庭療法は、言葉で表すことが難しい小児、思春期の患者さんに主に行われますが、時に大人の患者さんにも適応されます。イメージの世界を目で見えるように表現し、それを自分でも客観的に見つめることができるようにします。
3.もの忘れだけで認知症とは診断できない!

 アルツハイマー病はなぜか脳が痩せてくる認知症の病気の一つです。認知症になる原因(病気)は100種類ほどあります。認知症のお年寄りには「誰かが家に侵入」し「物を盗む」とか「いじめられる」、「悪い病気にかかった」などの思い込み(妄想)が生じやすく、「せん妄」がきっかけとなったりします。

 「せん妄」とは、夕方から夜間にみられる寝ぼけのことです。頭の中は夢のなかで、時間も場所も曖昧(あいまい)で、大声やごそごそが出ます。大抵は泥棒や死んだ夫、イヌやヘビ、ムカデやアリなどが「見えるまぼろし」(幻視)として登場し、興奮します。

 これらは治療で治ります。もの忘れだけならまだ大丈夫ですが、もの忘れの原因をきちっと診断しておくべきです。当科では、画像検査、神経心理学的検査等を組み合わせて総合的に診断する「もの忘れ外来」(表2)を開設しています。

4.不眠症には沢山の病気が隠れている!

写真3 睡眠外来 終夜睡眠ポリグラフ
睡眠呼吸障害の診断に用いられ、眠っている間に呼吸が止まる病気である“睡眠時無呼吸症候群”の診断には欠かせない検査です。
 ヒトの人生の3分の1は睡眠です。睡眠時間が4時間以下や10時間以上だと長生きしないようです。眠れない不眠症から、昼間の眠気や居眠りが問題となる過眠症まで、約80の原因(病気)があります。

 もちろんうつ病や様々な体の病気のために眠れないこともあります。当科では、様々な睡眠障害に対応するために、終夜睡眠ポリグラフ検査=写真3=、頭部MRI検査、詳細な血液検査などを行い、その結果に基づいて、適切な治療を行うことを心がけています。通常1〜2泊の検査入院が必要となります。睡眠外来(表2)にご相談ください。

5.身体疾患患者さんの心のケア!

 島根大学附属病院では精神科医師と臨床各科の医師との連携(リエゾン)医療を行っています。がんや生活習慣病などの身体疾患の患者さんの中に、うつ病や不眠などの精神症状が合併する場合に精神的治療やケアを行い心身両面からの総合的な医療を行っています。

表1 うつ病の自己記入式テスト
自分に当てはまる数字(1〜4点)に丸をつけて、数字の合計点を計算してください。うつ病の平均点は60点で、50点以上は疲れがみえます。
表2 精神科・神経科外来担当医

 (健康生活第8号)

('07/09/18 無断転載禁止)

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