安倍首相インド訪問

日印首脳、聖地バラナシに 親密さアピール    (2015/12/13)

インド北部のバラナシを訪問し、ガンジス川のほとりで祈りの儀式に臨む安倍首相(中央左)とインドのモディ首相(同右)=12日(共同)

 【バラナシ共同】安倍晋三首相とインドのモディ首相は12日、同国北部のヒンズー教の聖地バラナシを共に訪問した。バラナシはモディ氏の選挙区で、本人の強い意向で安倍氏を招待した。両首脳は両国関係の重要性と同時に、個人的な親密さをアピールした。

 バラナシはヒンズー教の聖なる川ガンジス川沿いに位置。熱心なヒンズー教徒のモディ氏が重要政策の発表の場としてもたびたび活用した「特別な地」(外交筋)だ。

 両首脳はバラナシ到着後、ガンジス川のほとりで、祈りの儀式を観賞した。安倍首相は観賞後「平穏を祈る気持ちが伝わった。日本とインドの協力をさらに発展させ、インドの人々が豊かな暮らしを送れるよう貢献したい」と話した。

 ヒンズー教では遺体を火葬した後、遺灰をガンジス川に流す風習がある。ガンジス川は近年、水質汚染が深刻化し、浄化に向け日印が協力を進めている。

企業の進出支援へ1・5兆円の投融資枠表明    (2015/12/13)

 【ニューデリー共同】安倍晋三首相は11日午後(日本時間夜)、インドのニューデリーで開かれた企業関係者向けセミナーであいさつし、同国のインフラ整備や工場建設に向け、日本企業の進出を支援するため、新たに1兆5千億円規模の投融資の枠組みを設けると表明した。

 同行筋によると、枠組みは円借款とは別で、国際協力銀行(JBIC)を通じた融資などを想定している。

 日本政府は、中国主導で設立されたアジアインフラ投資銀行(AIIB)に対抗するため、環境の浄化や省エネの向上につながるインフラ整備を提唱。11月にはマレーシアで円借款の貸し付け条件緩和を公表した。

 首相はあいさつで、日本の産業界が高度成長期に公害問題を乗り越えた経緯に触れ「日本は質の高いインフラパートナーシップを推進する」と強調。「新たに、インドに進出する日本企業の活動をしやすくするための事業向けに、総額1・5兆円規模のビジネス機会を創出する」と述べた。

 インドで初めてとなる高速鉄道計画を念頭に「日本の技術による新幹線が走るようになれば、広大なインドの都市間の距離を縮め、新たなビジネスが生まれる」と訴え、新幹線方式の採用に期待感を示した。

日印、原子力協定で合意 NPT未加盟国と初     (2015/12/13)

共同記者発表で握手を交わす安倍首相(左)とインドのモディ首相=12日、ニューデリー(共同)

 【ニューデリー共同】安倍晋三首相は12日午前(日本時間同日午後)、インドのモディ首相とニューデリーで会談し、日本の原発輸出を可能にする原子力協定の締結に原則合意した。締結すれば核拡散防止条約(NPT)未加盟国とは初めて。安倍首相は平和利用に関し、インドが核実験した場合は協力を停止すると伝えた。両首脳は、インド初の高速鉄道計画における日本の新幹線方式の導入も決定。支援のため最大約1兆4600億円の円借款を供与することで一致した。

 会談後、両首脳はこうした成果を盛り込んだ共同声明を発表した。

 原子力協定をめぐっては、日本はNPT体制を重視する立場から、未加盟国とは締結してこなかった。今回の合意は未加盟国の核兵器保有を事実上認めることになりかねず、日本の原子力政策の転機になる可能性がある。交渉では、唯一の被爆国として軍事転用に明確な歯止めを設定できるかが焦点となっていた。

 これに関し、安倍首相は共同記者発表で「日本による協力を平和目的に限定する内容を確保した」と強調。モディ首相は「インドは約束を必ず守る」と述べた。核実験した場合の協力停止や、使用済み核燃料の再処理に関し、平和利用を担保できる措置の明文化をめぐり今後、実際の協定締結に向けて詰めの交渉をするとみられる。

 会談で両首脳は、安全保障分野に関し、中国の海洋進出を念頭に米印両海軍による海上共同訓練「マラバール」に、日本の海上自衛隊が定期参加することで一致。会談に合わせ、日本からの防衛装備品や技術移転を可能にする協定と、防衛関連情報を交換するための情報保護協定への署名に立ち会った。海上自衛隊の救難飛行艇「US2」のインド輸出交渉を加速させる思惑がある。

 新幹線については、インド西部の同国最大の商業都市ムンバイとアーメダバード間の約505キロを結ぶ路線への導入で一致。総事業費9800億ルピー(約1兆8千億円)のうち、最大で81%を円借款で支援する。人的交流をめぐり、安倍首相は今後5年間でインド人留学生など若手人材1万人の受け入れを表明した。

 共同記者発表で、安倍首相は「ここから日印新時代が始まる。その幕開けとなる歴史的な会談となった」と強調。モディ首相は、原子力協定での原則合意に関し「両国の相互信頼と戦略的パートナーシップの新たなレベルを示す輝けるシンボルだ」と評価した。

首相、ジャワハルラル・ネール大学から称号 祖父との縁に感慨 (2015/12/12)

 【ニューデリー共同】インド訪問中の安倍晋三首相は11日午後(日本時間同)、ニューデリーでジャワハルラル・ネール大から名誉博士の称号を授与された。大学名の由来は、祖父の岸信介元首相と深い縁があったインドの初代首相ネール氏。安倍首相は「ネール首相と祖父の交流が思い起こされる」と感慨深げだった。

 岸元首相は1957年、初めての外遊先としてインドを訪問し、その際の首相がネール氏だった。安倍首相は「首脳会談の模様を何回か祖父から聞いた。大変うれしそうに話していた」と振り返った。

 名誉博士号は国際関係論の分野で、大学側は授与理由について「インドの経済開発に顕著な貢献がある」と述べた。 

安倍首相がインドへ出発 新幹線、原発合意目指す    (2015/12/12)

インドを訪問するため政府専用機に向かう安倍首相=11日午前、羽田空港

 安倍晋三首相は11日午前、インドへ向けて政府専用機で羽田空港を出発した。12日にモディ首相との首脳会談に臨み、インドの高速鉄道計画への新幹線システム導入や、日本の原発輸出を可能にする原子力協定締結での合意を目指し協議する。

 出発に先立ち、首相は官邸で記者団に「高速鉄道、安全保障協力、原子力協定などの分野において、今後の日印関係を発展させていく大きな弾みとなる成果を目指していきたい」と強調。原子力協定締結に関し「日本は世界で唯一の戦争被爆国だ。そういう立場を十分に踏まえながら交渉に当たりたい」と述べた

 両国はほぼ毎年、首脳が相互訪問しており、安倍首相の訪問は3回目。

 11日午後(日本時間夜)、ニューデリーに到着し、両国企業関係者らが参加する科学技術セミナーに出席。スワラジ外相の表敬を受ける。

 12日の首脳会談では、日本からの防衛装備品や技術の移転を可能にする協定と、情報保護協定の締結に関しても議論する。会談後、モディ首相の案内でヒンズー教の聖地バラナシを訪問し、13日に帰国する。