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太陽光発電ビジネスの現状と普及へ向けた課題

 「低炭素社会」の実現に向け、注目が高まる太陽光発電。国や自治体の導入促進策が追い風となり、住宅用の太陽光パネル市場が活況を見せている。ただ、補助金はあっても家庭で導入するにはまだ「高い買い物」との実感はぬぐえず、山陰両県でも補助制度のある自治体は11市町に限られる。太陽光発電ビジネスの現状と普及へ向けた課題を探った。

補助金で56万円の恩恵
 「電気使用量と購入電力量の明細が届くのが楽しみ」。松江市西川津町の無職男性(66)は4月中旬、太陽光発電システム4キロワットを自宅に設置。5月の電力会社への売電量は1万円を超えた。

 3年前にオール電化にリフォームし、節電効果とともに環境問題への関心は高まってはいたものの、業者の勧めには当初、話半分で聞いていた。

 「本気で考えてみる価値がある」と思い立ったのは2本立ての補助がきっかけ。国は今年、4年ぶりに補助制度を再開し、一定の条件を満たす住宅用システムの設置に対し、1キロワット当たり7万円を補助し、松江市も2月末から従来設けていた1キロワット当たり2万2500円の補助額を9万2500円に引き上げた(上限3キロワット)。男性が受けた補助は、総額約56万円に上る。

 男性のように、補助金に後押しされ、設置を決める家庭は増えている。国の補助申請がスタートした1月以降、山陰両県の契約件数は島根約270件、鳥取約120件。松江市の場合、昨年度は50件の枠に満たない48件だった申請件数が既に70件を突破した。市環境保全係の担当者は「問い合わせも多く、このペースでいけば100件の枠が埋まるのに時間はかからない」と話す。

 山陰両県の太陽光発電の導入件数は3月末時点で島根3396件(事業所含む)、鳥取2190件。環境意識の向上に伴い徐々に普及してはいるものの、2002年には1キロワット当たり10万円だった国の補助は段階的に減らされ、新規契約の伸び率は縮小傾向にあった。島根県の08年度の契約件数は前年度比14・8%増の437件で、冬場にもかかわらず国の補助が再開した1~3月の約150件の契約が伸びを支えた形だ。

 松江市をはじめ、自治体が独自に設ける補助制度も普及を下支えする。山陰両県では島根が3市町、鳥取は09年度から倉吉市、大山町、南部町が新たに加わり、8市町で実施している。

 さらに、国は家庭で発電した余剰電力を、電力会社が現在の約2倍の価格で買い取る制度について、10年度開始予定を前倒しし、年内にも実施する方針で検討を進めている。20年以上かかるとされる設置費用の回収時期が早まるとして、普及の弾みになるとの期待は大きい。

販売各社は「商機到来」
 こうした市場性を見込み、商機到来とみる販売業者の鼻息は荒い。

 「ビッグチャンスだ」─。(有)ソーラープロジェクト大社(出雲市大社町)の糸賀博之社長は、国の補助再開に意気込む。松江市が補助を増額し、緊急経済対策として対象を市内業者の設置に限定したことを受け、すぐに松江店の出店に動いた。山陰両県でも断トツの補助額である上、「住宅や事業所が多く、それだけチャンスは大きい」と判断。出雲で築き上げた営業、販売のノウハウを生かしながら、イベント開催や自宅訪問など地道な営業活動を続け、既に10件以上の契約を獲得。市内中心部から旧町村にも営業エリアを広げていく計画だ。

 山陰冷暖(株)(出雲市今市町)も、営業所を構える山陰両県4カ所のうち、環境システム事業部を置く松江市をコア市場として販売を強化する。空調など設備工事を行う同社は03年から家庭用太陽光発電システムの取り扱いを開始。国の補助金制度が廃止された05年度以降は販売数が落ち込んでいたが、制度が再開された今年は以前を上回るペースに伸び、本常幸男社長は「以前と比べ、かなり売りやすくなった」と市場環境の変化を感じ取っている。

 補助金の復活とともに、消費者の環境意識の高まりも要素の一つで、「CO2削減のために何ができるのかを考えるお客さんが多くなった。安くはない商品だが、抵抗感が少なくなっている」(本常社長)。同社はオール電化などと合わせ、光熱費削減効果をシミュレーションで示すことで、消費者の省エネ、環境意識に訴える。

家電量販店も活気づく
 市場環境が好転するのに伴い、競争も激化した。冷え込みの激しい住宅市場で、太陽光発電に活路を見いだそうとする工務店や建材店が販売攻勢をかけるほか、異業種参入もあり、取り扱い業者は格段に増加。予算枠で決まっている市町村の補助件数をめぐり、各社はしのぎを削る。

 エコポイント制度で明るい兆しが一部出ているものの、業界全般では依然、低迷する家電業界。量販店最大手の(株)ヤマダ電機(群馬県)は、住宅用太陽光発電システムの取扱店舗数を来年3月までに、現在の約100店から400店へ拡大する計画で、同社広報担当者は体制強化について「新たな収益基盤を確立するため」と説明する。

 山陰地区での計画は未定ながら、現在の4店舗のうち、既に販売コーナーを設けているテックランド鳥取店(鳥取市古海)は、IHクッキングヒーターやエコキュートなど、住宅のオール電化製品とのセットを中心に販売。広報担当者は「安心感や気軽さを感じて、買ってもらっている」と、消費者に身近な家電量販店ならではの売りやすさを強調する。

 家電量販店ではこのほか、山陰に店舗を持つ(株)コジマ電機(栃木県)や(株)ベスト電器(福岡県)も、太陽光発電システムの販売に力を入れる方針で、量販店の市場参入は今後、さらに加速するとみられる。

普及効果の兆しも
 販売競争の過熱が普及促進に一役買っている一方、本格普及に向けては課題も残る。

 鳥取県地球温暖化対策室の担当者は「補助金がカットされた影響もあるが、ここ数年導入が伸び悩んだのは、価格が下がらなかったことが大きい」と指摘する。導入価格は平均的な設置容量の3キロワットで200~300万円とされ、山陰両県で最大の補助が受けられる松江市でも価格の約2割引き程度しかならない。

 補助制度がない市町村での”割高感”はさらに強まる。山陰冷暖は、松江、出雲、米子、益田の4営業所で展開するが、補助制度があるのは松江市のみ。市町村ごとの取り組みの温度差が、売り上げのムラとなって現れているという。

 ”補助金頼み”の側面が強い中、島根県は02~04年度まで県独自の補助制度を設けていたが、国と歩調を合わせた補助再開には、厳しい財政事情があるだけに腰は重い。

 市町村の補助も3市町にとどまっている島根県に対し、8市町が実施する鳥取県は03年度から、市町村の補助額の2分の1を県が負担。さらに補助額の引き上げ、または新規で補助を始める市町村を対象に、県の負担を3分の2に引き上げる補正予算案を6月定例県議会に盛り込み、導入促進を間接的に支援する。

 政府は20年までの温室効果ガス排出量を「05年比15%」削減する方針を決定し、目標達成のため太陽光発電の導入量を現在の20倍に拡大させる方針だ。発電システムの価格がどこまで下がるか、が普及のカギとされるが、経済産業省が今年3月時点で調べた1キロワット当たりの平均価格は昨年度平均の70万円から約60万円と大きく下がった。同省は政府の補助制度への申請が2万件(3月時点)に上ったことによる普及効果が価格を押し下げたと分析、今後3~5年でシステム価格は半分程度になるとみて普及に弾みをつけたい考え。産業、住宅用ともに太陽光パネル市場は今後、一段と過熱しそうだ。

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