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 なるほど!石見銀山 :  創作能「石見銀山」(中)伝統に新要素取り入れ
昭和30年代から40年代、最盛期の琴ケ浜の盆踊り風景
 多田房明(世界遺産をめざす会理事)

 秋の深まりとともに、各地の神社で祭りばやしが聞かれるようになった。八岐大蛇(やまたのおろち)に代表される豪快な演目を持つ石見神楽は、この地方を代表する伝統芸能である。大田市内だけでも、十を数える社中があり、活発な活動を展開している。

 その一つ、たたら製鉄で栄えた大田市仁摩町の宅野集落に伝わる子ども神楽は、江戸時代からの歴史を誇る。現在でも地区の小学生から中学生まで全員が参加し、伝統を維持している。

 上方から伝えられた伊勢太神楽や歌舞伎の影響を受けており、獅子舞や式三番叟(しきさんばそう)など、他の社中には見られない独特の演目を伝えている。毎年正月三が日に子どもたちが集落内を舞い歩く姿をご覧になった方も、多いことだろう。

 石見神楽の魅力は、伝統を大切にするだけでなく、新しい要素を積極的に取り入れている点にある。世界遺産登録を機に、大屋神楽社中「於紅谷(おべにだに)」、土江子ども神楽「金山姫銀山勧請」など、石見銀山を素材とした創作神楽が次々と生み出されている。今後、石見神楽がどのように発展していくのか、大いに注目したい。

 石見銀山初期の銀鉱石の積み出し港・鞆ケ浦に鎮座する鵜島厳島神社のレンゲ祭りで踊られ、現在でも八月十三日から十五日に踊られているのが、琴ケ浜の盆踊りだ。雨ごい祈願に起源を持つ「願成就=足半(あしなか)踊り」、伯耆地方に綿摘みに出かけた娘たちが伝えた「一つ橋」、新潟地方に船乗りとして出かけた男たちが伝えた「北国流思案橋」の三種類の踊りが伝えられている。

 馬路地区の人たちは出稼ぎや嫁に行った者も盆踊りの日には帰郷し、近郷近在から多くの人出があって鳴り砂の浜は大にぎわいであった。

 しかし、近年、踊りの輪が小さくなってきた。そこで保存会では口説き集を発刊したり、子どもたちを対象とした講習会を開催。さらに、鞆ケ浦の世界遺産登録を契機に「石見銀山音頭」を新しく創作した。琴ケ浜の盆踊りが往時のにぎわいを取り戻すことを期待したい。

 このほかにも、石見銀山周辺には、水上神社の「シッカク踊り」や、石清水八幡宮の「小笠原流田植え囃子(ばやし)」など魅力的な伝統芸能があり、地元の方々の努力で大切に伝承されている。大勢の皆さんに、一度は見ていただきたい。

('07/10/31 無断転載禁止)

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