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 特集・石見銀山 :  石見銀山の営み(4)地の恵み 都茂銅山の技術者採掘か
全国でも貴重な中世の銅精錬工房跡が見つかった大年ノ元遺跡=益田市美都町都茂(益田市教委提供)
佐毘売山神社を分霊 益田から祭神と移動

 膨大な富を生み出した大田市の石見銀山遺跡の中枢・仙ノ山のふもと。巨大な岩の上に鉱山の神を祭った佐毘売山(さひめやま)神社が鎮座する。一帯は銀山で最初に開発された場所とされ、地元・大森の人々の信仰を集めてきた。

 島根県文化財保護審議委員で、広島県三次市にある奥田元宋・小由女美術館の村上勇館長(59)=益田市出身=は、佐毘売山神社が十四世紀と十五世紀に、益田市の同神社から分霊されたことを重要視する。

 「祭神の移動は祭っていた技術者の動きを示す。石見銀山開発の前史として、西石見の都茂銅山の開発があり、人と技術が大森にもたらされ銀が採掘された」と指摘。石見国を包括した研究の視点を提起する。

 石見銀山史で解明されているのは、戦国後期の一五二六年に博多の豪商・神屋寿禎が本格的に開発した以降のことだ。それ以前は謎のベールに包まれており、鎌倉時代の一三〇九年の発見を記す資料も伝わる。

 村上館長の分析の背景には、室町将軍に会えるなど国人領主の中で破格の扱いを受け、鎌倉時代から安土・桃山時代にかけて益田を拠点に権勢を振るった中世益田氏の存在と、益田市周辺での発掘調査の成果がある。

 都茂銅山の入り口付近で見つかった全国でも貴重な銅精錬所跡の大年ノ元遺跡では、益田氏の「中興の祖」と呼ばれる益田兼見の時代の操業と解明。中須西原遺跡では外洋船が停泊できる港跡が発見され、海洋領主として国際貿易を担った姿が浮き彫りになった。

 神屋寿禎の石見銀山開発後、逆に技術がもたらされ、都茂銅山でも銀が生産されるようになったことも分かっている。益田氏は、戦国後期には博多にも領地を所有し、銀を貿易に活用したとみられる。

 益田と大森を結ぶ奇縁はもう一つある。益田に進出した兼見が一三六八年ごろに築いた館・三宅御土居(おどい)は関ケ原の戦の後、解体されて船などで大森に運ばれ、銀山奉行・竹村丹後の屋敷となり、大森代官所として利用された。

 貿易と軍事に手腕を発揮して動乱を駆け抜け、中世の世に存在感を示した益田氏。石見国最大の武士集団の財力と権力の源に、石見の地に点在していた豊かな銅と銀の資源が見いだされようとしている。

('08/06/22 無断転載禁止)

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