第1回連歌甲子園入選句

 ◆課題1◆
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  途中まで来て引き返す曲がり角
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【大賞】
軒にぶつかるあさがおのつる
 (岐阜・岐阜北) 山村 明日香
 【評】人間が主人公かと思っていたら、あさがおだった、という意外性。表現も手堅く、まったく無駄がない。「この先を考えている豆の蔓」という吉川雉子郎(英治)の川柳を彷彿させる秀句。

 

【優秀賞】
同じ所で石につまづく
 (熊本・済々黌) 松本 光代
 【評】同じところでつまずく、と分かっていれば、気を付けそうなものですが…。トボケた味が魅力。

地図を睨んでまた大喧嘩
 (江津) 亀井 拓亮
 【評】道に「迷った」という言葉は使わずに、そのことを表現した点が巧み。「また」の一言が効いています。下七が「大喧嘩する」だったら、まったくつまらない。

だってあそこにジャイアンがいる
 (出雲工) 梶谷 亘
 【評】道を曲がれば、いじめっ子もいれば怖い犬もいる-。そこまでは誰でも思いつくが、話し言葉をそのまま持ってきたおもしろさで、一歩リード。

見捨てられない捨てられた犬
 (浜田水) 蔵本 知弥
 【評】わずか14文字の中で、同じ言葉を2度使うことは、ふつうは禁じ手。ここは、そのタブーをあえて冒したおもしろさ。繰り返しのリズムが快い。

紅葉の葉っぱも色づき始める
 (開星) 熊谷 厚
 【評】「引き返す」理由は、忘れ物をしたわけでも、約束を思い出したわけでもない。いわば、どうでもよいこと。肩肘を張らずに綺麗に仕上げた傑作。

今年の夏はとても暑いな
 (大社) 園山 麗
 【評】これも、特に用があって「引き返す」わけではない。でも、よくある経験。平凡に見えて、とてもうまい句作り。

徹夜で書いた手紙片手に
 (出雲・定) 名原 千賀
 【評】桃菴センセイも経験あり。よく分かる。でも、今はどうなのかな、ケータイの時代。送信ボタンを押すのに、やっぱりためらうのかしら。

足が震える合格発表
 (松江南) 宇田川 雄平
 【評】これも誰でも思いつく内容ながら、引き締まった表現が異彩を放つ。高校生らしい感覚で詠んだ名作。

一人もいないラジオ体操
 (松江商) 伊東 幸子
 【評】マジメに早起きしたけれど、他のみんなはサボっていた? それでも1人でがんばる、…ほどにはマジメじゃない?

ホームベースは意外と遠いな
 (江津工) 中川 貴志
 【評】なるほど、三塁ベースも立派な「曲がり角」。そこを曲がったところで思い返した-。ユニークなアイデアで入選。  

◆課題2◆
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【大賞】
タマちゃんは今度はどこへ行ったのか
 (開星) 藤原 宏史
 【評】最新情報(ホームページで調べました)によると、11月4日現在、横浜市を流れる帷子川の護岸で日向ぼっこ-。コンピュータそのものにとらわれずに、人気の話題に転じたところがお手柄。

 

【優秀賞】
コンピュータ使えない方教えます
 (福島・福島明成) 茂木 慎治
 【評】一種のパラドクス。でも、ナンセンスではない。例のあの分厚い操作マニュアルだって-。ことさら分からないように書いてある。どうしろというのだ!

パソコンのない私への嫌がらせ
 (浜田商) 斎藤 香
 【評】わざわざ嫌がらせをするほどヒマ人もいないでしょうが、この気持ち、よく分かる。最近のIT革命とやら、桃菴センセイなどは、年寄りイジメだと思っております。

というテにひっかかることないですか
 (大社) 渡部 裕実
 【評】「ないですか」なんていうところをみると、結構あるということか。で、ウイルスに感染したりして。作者の実体験…、じゃないでしょうが。

地元でもそれほど名所知りません
 (松江北) 藤井 裕生
 【評】ホント、ホント! 灯台もと暗し! 島根大学にも連歌のことを知らない学生がいっぱいいます。単位はもちろん、全部落とします。

昼間とは違う私が管理人
 (松江南) 富永 桃子
 【評】ホームページはいつでも見られるけれど、「工事」したりするのは、やっぱり夜、なのかな? ふつうは。「昼間とは違う」顔で。どんなページなのでしょう。

八束郡大根島はおらが村
 (松江工) 竹谷 正史
 【評】島根県八束郡八束町、通称大根島は、ぼたんと高麗人参の産地。立派なホームページがあります。ご覧ください。

新しい私のお部屋できました
 (浜田水) 平野 太樹
 【評】ホームページの「お部屋」と、ほんとうの「お部屋」、両方に取れるところがおもしろい。現代の「掛け詞」。

ここずっと運が悪くて暗い人
 (江津) 上野 由佳
 【評】ヘンな宗教の勧誘みたいな、こういう文句もいちおう警戒しておいたほうがいい。言っている人のほうが運が悪いかもしれません。

ウイルスをオレのに入れるつもりだな
 (浜田水) 永見聡幸
 【評】これも何だかあやしげなホームページ? 「クリックしてね」なんて、ウインクしているのもある、そうですナ。

大好きな人の名前で検索中
 (浜田水) 石津 結花
 【評】これ、やってみると、同姓同名がいかに多いか、びっくりしますね。似ても似つかぬ人と出くわしてしまった-、そんな体験ありません?

2017年5月13日 無断転載禁止

こども新聞