(8)ヌートリア 農作物食い散らす”悪者”

 松江市湖北の田園地帯に流れる古曽志川の中州で日中、ヨシの茂みの中から遠くをうかがうヌートリアを見つけた。

 夜間には近くの田畑に出没。近くに住む男性(59)は「稲やカブなどを手当たり次第に食い散らかし、手が付けられない」と困惑する。

 ヌートリアはネズミの仲間。南米で生息していたが、今では日本の河川やため池などでも見かけ、成長すると体長約六十センチ、体重は約十五キロに達する。

 島根県鳥獣対策室によると、ヌートリアは県内で一九九〇年に初確認され、今では県東部、中部に生息域が拡大。農作物を荒らすことで有害鳥獣にも指定され、今では毎年百数十頭が捕獲されている。その愛くるしい姿とは対照的に、「悪者」として定着したヌートリア。しかし性質はおとなしく憶病で、群れのきずなは強い。戦前、主に軍服用の毛皮獣として持ち込まれた経緯を考えれば、人間の都合で遠い日本の地にたどり着いた「犠牲者」でもある。(文と写真 報道部・小滝達也)
ヨシの茂みに身を潜めるヌートリア。この後、すぐ川の中に姿を消した=松江市の古曽志川

2004年3月30日 無断転載禁止