(9)テン 金色の毛光らせ人家潜入

テン 金色の毛光らせ人家潜入

 朝の冷気に包まれた、午前四時すぎ。宍道湖北部、北山山系にある松江市西長江町の民家軒下に獣が姿を現した。獣が農具小屋に足を踏み入れたとき、セットしていた赤外線センサー付きカメラのストロボが発光し、シャッターが切れた。

 カメラがとらえたのは、金色の毛が美しいテンだった。テンは食肉目イタチ科で、体長約五十センチ。撮影されたテンは冬毛で、夏になると褐色に変わる。数年前からこの民家の周辺に姿を見せるようになったという。

 そのうわさを聞き、フンが落ちていた軒下に好物のニワトリの肉を置いて誘い出すことにした。ところが、人間のにおいがするのか、カメラを気にしているのか数日間まったく手応えがない。野生動物の専門家に「一週間ぐらいはかかるだろう」と聞いてはいたが、日に日に焦りが募るばかりだった。

 この家のご主人(69)は約五十年のキャリアを持つベテラン猟師。動物の習性に詳しい。「夜中に家の近くのツバキの木に登っていることもしばしば。フンもよく見かけるのでそのうち出てきますよ」と、自信たっぷり。

 チャンスが訪れたのは八日目の深夜だった。その一匹は足を忍ばせ、やって来た。敷居に乗り餌を食べ始めた一瞬を、センサーは見逃さなかった。 (文と写真 報道部・小滝達也)

深夜、餌を求め現れたテン。殺気すら感じさせる=松江市西長江町

2004年4月20日 無断転載禁止