先生が著作権学ぶ

「教師のための著作権講座」で、作花文雄内閣法制局参事官の講演を聞く教育関係者
 今年1月から著作権法の一部が改正施行され、教室で生徒が新聞を利用しやすくなったことを契機に、「教師のための著作権講座」(日本新聞教育文化財団主催)が1月下旬、東京千代田区の日本新聞協会・会議室で開かれ、教育関係者約5人が参加した。同講座は、NIEを実践する教師の日常的な疑問に答えるため、初めて開催された。NIEに関連する著作権改正の概要と教室での活用の留意点を紹介する。

 法改正で生徒も複製可能

 ◇著作権とは
 「著作権法入門」と題して講演した内閣法制局参事官の作花文雄氏は「著作物とは『思想または感情を創作的に表現したもの』で、アイデアは保護対象にはならない。新聞も異動・死亡記事など人事雑報を除き、著作権の対象物だ」と説明。
 さらに「著作権は著作物を創作した時点で自動的に権利が発生する。通常、死後もしくは発表後50年間保護される著作権には、複製権などの知的財産権のほか、公表権・氏名表示権・同一性保持権で構成される著作者人格権がある」など、制度の基礎を解説した。
 また、学校側が生徒の作文に個人名が特定されるとして、作文の一部を改変したが、それは生徒に無断で公表してはならないとする公表権を侵害し、勝手に直したもので、合理的範囲を超えていると判断。教師裁量の逸脱、生徒人格権の侵害として学校側が敗訴した裁判事例も紹介した。
 顔写真などの肖像権については、無遠慮に使われることに対し、人物が特定できるかなどによって許容範囲がある。依頼原稿の二次使用についても著作権者の同意が必要、とアドバイスした。

 ◇難しい線引き
 朝日新聞社著作権センター長の杉野信雄氏は「新聞活用における著作権Q&A」と題して説明した。
 著作権法が一部改正され、授業過程で教育担当者だけ認められていた複製(紙面コピー)の許容が、授業を受ける生徒自らも複製できるようになり、教室で新聞を利用しやすくなった。
 しかし、具体的にどこまで無許諾で利用できるようになるのか線引きが難しい。このため、現在権利者団体がガイドラインの内容を協議している。ガイドラインは、無許諾、無償で利用できる範囲を教育関係者に分かりやすくするための利用の手引きとしてまとめられ、今後公表される予定だ。

 ◇新聞社に照会を
 杉野氏はガイドライン案を基に、実際の活用事例を紹介しながら、新聞活用における著作権について解説した。
 判断の分かれる項目としては▽教育機関の範囲(営利目的は含めない)▽授業の範囲▽複製の部数限度▽出所明示(掲載紙名・発行年月日など)▽著作権者の利益を不当に害するケース-などが挙げられている。
 一般に言えるのは、権利者側はあくまでケース・バイ・ケースで判断している点。教室で活用する新聞紙面のコピーといえども、許されない限度があり、部数など新聞社に問い合わせが必要だ。

 ☆教室での著作権☆
 教育目的での著作物の利用については、35条に規定されています。今年1月から施行された改正部分は、従来の「教育を担当する者が、その授業の過程において使用する場合は、必要とされる限度において、公表された著作物を複製できる」となっていましたが、今回の改正で、「授業を受ける者」も複製ができるようになりました。さらに、親教室から離れた場所(サテライト教室)で、親教室の授業を同時に受ける人は、親教室で見せている教材を送信してもらい、親教室と同時にストリーム映像として視聴することが可能になりました。ただし、送信されたものを保存(複製して蓄積)することは前提として考えられていません。試験問題としての複製も限度つきながら従来通り認められています。

 ネットワーク上の著作権については、新聞社・通信社が発信するほとんどの情報は著作権があります。利用のルールは、インターネットなど電子メディアでも、基本的には紙の場合と変わりありません。電子的なメディアで利用を希望される場合は、必ず発信元の新聞・通信社に連絡、相談ください。無断でホームページに転載されると、著作権侵害になります。

 引用して利用する場合も、いろいろな条件を守る必要があります。カギかっこを付けて出所を明示してあっても、引用に必然性があり、質・量とも主従の関係がなければ、正しい引用とはなりません。要約紹介では、原作を読まなくても内容が分かれば、著作権上の「翻案」に当たり、著作権者の承諾が必要です。利用が認められるのは、作品自体の存在だけを紹介する短い要旨程度です。(2004年2月29日掲載)

2004年2月29日 無断転載禁止

こども新聞