(15)カワウ 稚魚大好きの”憎まれ役”

 雪雲に覆われた冬の中海。ふと空を見上げると、黒の革ジャンをまとったような一団がV字の編隊飛行を誇示していた。と間もなく、水しぶきを上げて着水。水面から顔をのぞかせた岩場に陣取った。

 鵜(う)-。世界中で約三十種類はいるとされるペリカン目ウ科の総称。うち国内で繁殖しているのは、岐阜・長良川の鵜飼いでおなじみのウミウを代表格に、カワウ、ヒメウ、チシマウガラスの四種類。V字編隊の主はカワウだった。

 魚食性の鵜。実は、全国の内水面漁業者との間でトラブルが絶えない。せっかく放流したアユの稚魚などを好んで捕食するためで、今や「カワウ被害」なる言葉が定着しているほど。対応に苦慮する島根県でも現在、ホシザキグリーン財団(平田市)が初の生息調査に乗り出し、文字通り「鵜の目、鷹(たか)の目」で被害防止の決め手を探る。

 関係者によると、素潜り上手なカワウは大食漢らしい。一日の捕食量はざっと〇・五キロ。成鳥なら体重の四分の一にも匹敵する。しかも群れで食べるから、始末が悪い。糞(ふん)害で松枯れのケースも報告されている。

 「黒いギャング」の異名を持ち、憎まれ役のカワウ。ただ、駆除して間引いた際の生態系への影響など解明しなけばならない課題はなお多く、一方では被害拡大を防ぐための地域間協力や、広域的な調査研究が焦眉(しょうび)の急になっている。

 カワウと人間の”終わりなき知恵比べ”は熱くなるばかりだ。

(報道部・小滝達也)

岩の上で羽干しするカワウ。羽を動かすこともなく、まるで彫像のように固まっていた=島根県美保関町沖の中海

2005年2月15日 無断転載禁止