(13)韓島

船上パレードに彩られた韓島。石見銀山の発見伝承が伝わり、470年前の景観を今もとどめる=仁摩町宅野沖の日本海
 光る仙の山発見 伝承残す
 鮮やかなコバルトブルーの波間に笛と太鼓の音が鳴り響く。島根県仁摩町宅野沖の韓島(からしま)で7月24日、韓島神社の例祭が営まれ大漁旗を掲げた宅野漁業振興会の漁船が船上パレードを展開。先頭の船に金築正彦宮司(59)らが乗り込み、海上の安全と豊漁を祈願した。

 地元の伝承によると、大永6(1526)年、博多の豪商・神谷寿禎が日本海を航行中、韓島沖から仙の山(大田市大森町、標高537メートル)が光るのを見て、石見銀山を開発。シルバーラッシュの物語が始まるきっかけとなったという。

 船上から南の稜線(りょうせん)を探すと、大江高山の東側にラクダのこぶのような山が2つ。仙の山と山吹城跡がある要害山が見えた。ところが、発見伝承は韓島沖にとどまらず、大田市の大浦沖や仁摩町の琴ケ浜沖と諸説あり、謎に包まれている。

 文献「大内義隆記」は、寿禎の開発から2年後、石見銀山が宝の山となり海外にも鳴り響き「唐土(もろこし)天竺(てんじく)高麗の船が来た」と外国船到来を記す。どこに入港したのかは不明だが、大田市から仁摩、温泉津両町にかけて朝鮮関係の地名などが集中することに驚かされる。

 大田市の五十猛町には韓神新羅神社があり、銀山の大森町に「唐人屋敷」、久手町に「百済」、温泉津町温泉津には「唐人が浜」の地名が伝わる。

 中でも韓島は「対馬へイカ漁に出た地元の漁民が戻るのに良い目印になった」と、仁摩町文化財専門委員長の藤間比徳さん(77)に教わった。

 韓島神社の祭神・須佐之男命は朝鮮から帰る途中、島で休息したとされ、航海の守護神として大切にされてきた。古代から朝鮮半島と一衣帯水の地にあった島根。石見銀山に銀製錬のハイテク・灰吹き法をもたらしたのも朝鮮の技術者だった。

 いくつもの発見伝承や朝鮮関連の地名は、石見銀山の銀を求めて、朝鮮の人々が押し寄せる波のように何度も石東地域に来訪したことを物語るのではないか。海風をついて走る船から西を望みながら、そんなロマンが膨らんだ。

2005年8月2日 無断転載禁止