第1回「わがまち新聞コンクール」

わがまち新聞コンクールの島根県審査で最優秀賞に選ばれた原未緒さんの「出雲新聞」
 島根県NIE推進協議会が、県内の小中高校生を対象に募集した第1回「わがまち新聞コンクール」で、最優秀賞に選ばれたのは出雲市立浜山中学校2年の原未緒さん(13)の「出雲新聞」。地元のシンボル的な景観となっている築地松の危機を、所有者に取材するなどして紙面化し高い評価を得た。原さんに、新聞づくりの狙いや苦労を聞いた。

 最優秀賞に出雲市立浜山中2年原未緒さん「出雲新聞」
  見る目、知る目を培う 取材通じ地域に関心


 原さんが、築地松をテーマを選んだのは、祖父の自宅にあった築地松が松枯れしていたため。「なぜ枯れるのか」「対策はどうなっているのか」という疑問の解決を中心に取り組むことにした。

 本や資料、インターネットを利用して、松枯れの原因や行政対応を調査。近くの築地松の所有者と剪定(せんてい)する陰手刈(のうてご)り職人の話も聞いた。

 その結果、原因は松くい虫が最有力だとした上で対策は講じられているものの、松くい虫駆除の費用負担や陰手刈り職人の減少を背景に、築地松が減っているということが分かった。

 一連の取り組みを通じて原さんは「話を聞く大切さを学び、地域に対する関心が増した」と話す。

 執筆では、NIEの推進に協力している同中の多久和祥司教諭のアドバイスも受け、全体文字数を1200-1300字程度でまとめることに。レイアウトでは実際の新聞も参考に、見やすさを重視した。

 「取材したことをすべて記事にすると分量オーバーになってしまうので、自分なりに優先順位を付けて書いた。取材の六割ぐらいが記事になっていると思う」と原さん。

 それでも実際にレイアウトを決め、見出しを付けた後に記事を当てはめたら分量オーバー。原稿を縮めることとレイアウトの見直しを繰り返し行いながら仕上げた。

わがまち新聞コンクールでは記事の内容や読みやすさの観点から県審査が行われた
 完成紙面は▽松枯れの原因などを盛り込んだ本記記事▽出雲市の対策と空中散布の問題点をコンパクトにまとめたサイド記事2本▽築地松所有者、陰手刈り職人の談話-で構成。トップ記事の見出しは「築地松が消える」と危機感を前面に出した。写真は3枚使った。

 原さんは「空中散布の問題はもっと詳しく書きたかったし、レタリングも満足してない」。自己採点は100点満点の60点と言う。しかし、新聞づくりを通じて、出雲地域を代表する景観を守る大切さや難しさを知り「地域への関心が以前より高くなった」と原さん。

 同時に、新聞も「テレビ欄と天気予報程度しか見ていなかった」のが、現在は「島根のニュースも少しずつ読むようになった」と言う。

 多久和教諭は新聞づくりについて「地元でテーマを見つけ、足を使って取材することが大切。そして、原稿書きでは視点の明確化が求められる」と論理的な思考を養うのに役立つとし、「地域を見つめる目、知る目を培うことにつながる」と成果を話した。

 選評
  何を訴えたいか明確に グラフや地図活用伝える工夫も大切

 島根県内の小中高の児童生徒を対象に初めて公募した「わがまち新聞コンクール」には5校から100点以上の作品が集まった。作品は児童や生徒が、ふるさと自慢の新聞づくりに楽しみながら取り組み、地域の特色をよくとらえて、熱気が伝わってくるものが多かった。

 選考に際しては、全国審査と共通の基準で行った。テーマは「わがまち紹介」。

 審査基準は(1)記事の内容(取材、企画の着眼点と記事の分かりやすさ)(2)読みやすい編集(見出しがしっかり内容を伝えているか▽レイアウトがうまくできているか)の2項目に絞った。

 最優秀賞の原さんの「出雲新聞」は複数の関係者の元にきちんと足を運んで話を聞き執筆した取材姿勢が高く評価された。築地松が消える現実に「なぜ」という問題意識と視点が生かされ、見出し、紙面の構成もうまい。

 他の優秀作、佳作ともそれほど伝える技能に差はなかった。パソコンを駆使した小学生の色豊かな作品やデジタル写真をちりばめた新聞など色彩表現の豊かなものもあった。

 全般に言えるのは、何を訴えたいかという明確な視点と、伝える工夫としてのグラフや地図を使った表現が不足していた。来年以降、高校生も含めてさらに応募校が増え、レベル向上が図れるよう、事前に指導教諭の勉強会など試みていきたい。

2005年10月31日 無断転載禁止

こども新聞