取材班・大田一中2年生チーム 石見銀山と「世界遺産」

 今回は大田市立第一中学校の2年生4人が、世界遺産登録が来年夏、予定されている石見銀山について取材しました。「石見銀山の世界遺産登録で大田市が発展するか」という素朴な思いが出発点です。テーマは「石見銀山と市民の期待」。

  市民7割が関心 生徒の大半「発展する」

 ▼大人との意識差も
 大田一中生徒424人と、16歳以上の大田市民206人、合計630人に協力してもらい、石見銀山についてのアンケートを実施。その結果、一般市民の7割が石見銀山に興味を持っているのに対し、生徒で銀山に興味のあるのは4割に満たないことが分かりました。一方で、「登録で市が発展するか」との問いには、「発展する」とした市民は6割だったのに対し、生徒は7割と、大人と中学生で意識の違いがあることが分かりました。

 「世界遺産登録されることに興味を持っているか」という質問では、興味を持っている人が市民で69%、生徒で35%。これは、石見銀山が世界遺産登録されることに対して、市民の期待が大きいためと思います。半面、中学生は「自分とはかかわりがないこと」と思っている人が多いのでしょうか。

 「登録されると、大田市に多くの観光客が訪れ発展すると思うか」という質問では、発展すると答えた生徒は72%、市民は63%。関心の高い市民より、関心の低い生徒の方が「発展する」と予想しているという面白い結果となりました。

 ▼良いとこ伸ばそう
 課題もたくさんあることがアンケート結果に出ました。「多くの人に来てもらうためには、島根県や大田市はどんなことをすべきだと思うか」という質問では、生徒、一般市民ともに▽テレビのニュースなどで取り上げてもらったり、新聞などで全国、世界に宣伝▽宿泊施設や食堂などの設置▽道路や駐車場などの整備-などという意見が多数ありました。県や市はできることからどんどんやってほしいと思います。

 課題だけでなく、良いところもたくさんあります。「石見銀山の良いところは何だと思うか」という質問では▽間歩が残り入れる▽昔の町並みや文化などが残っている▽自然に囲まれている▽景色が美しい-などの意見がありました。他にもたくさんの意見があり、良いところは続くようにしてほしいです。

 「登録に向け(登録後も)個人としてどんなことができると思うか」という質問に対しては、「友人・知人にPR」「ボランティアで清掃活動」「石見銀山のことをもっと知る」「地域に誇りを持つ」など多数の意見がありました。個人でできることはどんどんやっていき、大田市民全員で協力して、素晴らしいこれからの「石見銀山」をつくりあげていきたいと思いました。

 「遺跡守る義務も発生」市石見銀山課竹下主任にインタビュー
 アンケート結果を踏まえ、大田市石見銀山課の竹下健主任にインタビューしました。

 世界遺産登録に向けての市役所の対応は?
 「これまでに登録に必要な推薦書を作りユネスコに提出しました。また、観光客が困らないようガイダンスセンターを設置したり、登録後の車の増加を予想した交通実験などをしています」

 市民は宿泊施設、食堂の設置を求めています。
大田市石見銀山課の竹下健主任(右)にインタビューする大田一中の取材班
 「宿泊施設、食堂の設置は、民間が自主的に造るものなので市役所は計画していませんが、店や施設の個数の調節をどうするかを会議で話し合っています」

 銀山を知ってもらうためにどんなことをしていますか。
 「子どもたちにもっと石見銀山のことを知ってもらうために、石見銀山の冊子を作っています。それをふるさと学習で使ってもらい、地域全体で石見銀山を学ぶ時間を設けてもらいたいと思っています」

 市民、特に中学生が世界遺産登録で大田市が発展すると思っています。
 「観光客が多ければ発展する、という単純な図式ではありません。登録されると未来永劫(えいごう)遺跡を守っていく義務も発生します。ピークを過ぎても観光客の数を持続できて、地域の活性化が図れるよう、会議で話し合っています」

 学校紹介
 大田市立第一中学校は、石見銀山から北東の方角に約10キロ離れた所にある生徒数437人の学校です。

 総合学習は郷土を題材にし、1年生は福祉活動、2年生は石見銀山と三瓶山の調べ学習、3年生は職場体験学習を行っています。たくさんの人と接しお互いを思いやる気持ちを学んだり、郷土の歴史や自然、産業について学び、大田市の未来を考えていく活動です。

 11月3日の文化祭で各学年が成果を発表しました。

 取材後記
 石見銀山のアンケート調査や取材で情報を集めるのが大変でした。途中いろいろなハプニングがあるなど、アンケート集計は大変だったけれど、何とかみんなで協力して最後には完成してうれしかったです。

 市役所に行って石見銀山課の人にインタビューしたのはすごく貴重な経験になり、この経験を将来に生かしていきたいと思います。

 また、「青春はつらつ新聞」に中学生が載るのは私たちが初めてなので、はりきってがんばりました。

 (大田一中石見銀山取材班=吉川理央、中田佑香、中原麻陽、加納瑞希)

2006年12月1日 無断転載禁止

こども新聞