取材班・松江工高新聞部 大橋川改修って何?

松江市中心部を流れる大橋川。治水のための改修事業が計画されている=提供写真
 今回は松江工業高校新聞部が、大橋川改修事業を取材対象に選びました。治水事業の歴史をひもときながら、現地を歩き、自然環境との関係にも踏み込んで取材しました。以下、そのリポートです。

 研究者に聞き現地を歩く
 今年7月の豪雨をきっかけに新聞やテレビで「大橋川改修事業」の話をよく耳にする。わたしたちは、それまで同事業をほとんど知らなかった。そこで、一から勉強してみようと思った。

 ▼昔も治水3点セット
 新聞社の記者さんの紹介で大橋川改修事業が環境にどのような影響を与えるかを考える環境検討委員会委員の高安克已島根大学副学長に話を聞くことができた。

 驚いたのは、大橋川改修事業は江戸時代の終わりごろにすでに企画されていたという話。高安先生は「江戸時代から松江の街は水害が頻繁に起こっていた。佐陀川や天神川を掘ったが、放水路としては機能しなかった。そこで、大政奉還の年に松江藩が▽斐伊川の流れを西に変える▽斐伊川の堤防を高くする▽大橋川の流れを良くする-の3点セット計画を決めた。しかし、大きな政治の変化があり、すぐには実現しなかった」と話された。

生徒のインタビューに答える環境検討委員会委員の高安克已島根大学副学長=松江市西川津町、島根大学
 松江の街が水害に弱いということは今に始まったわけではなかった。1930年代には、大橋川を深くして水通しをよくする工事も行われたが、抜本的な解決には至っていないとのことだった。

 ▼シジミ増産にも一役
 もう一つびっくりしたのは、宍道湖名物のシジミが現在のように大量に採れるようになったのはこの水通しの工事を行ったためということ。

 高安先生は「宍道湖はほとんど淡水だった。シジミも少なかった。しかし、この工事で中海から海水が宍道湖に入り、シジミに適した塩分濃度になり、たくさん採れるようになった。半面、田んぼや染め物をさらすことなどには使えなくなった」と話された。

 自然に人の手が加わることで環境は大きく変わるのだと思った。

 わたしたちは高安先生に話を聞くと同時に大橋川コミュニティーセンター(松江市向島町)で勉強した。さらに、12月に入って大橋川沿岸など23地点を歩いた。

 ▼沿岸に低地目立つ
 歩いて実感できたのは、土地の低いところがたくさんあるということ。大橋川と朝酌川の合流地点、天神川周辺、向島町周辺などが特に低いと感じた。

 また、高安先生が話の中で「大橋川には絶滅危惧(きぐ)種の水草など貴重な生き物がたくさんいる」とおっしゃっていた。また事業を行う上では「自然と人間との共存、共生、共栄の三つの観点が大切」とも。歩くとやはり、自然が豊かだった。

 取材して感じたのは、大橋川改修工事は松江の街を守るためにはやはり必要だということだった。ただ、自然の豊かさを残す重要性も実感できた。環境に与える影響などを十分に考慮しながら事業を進めてほしいと感じた。

 【松江・大橋川アラカルト】
 大橋川改修事業 斐伊川・神戸川流域を水害から守る「3点セット」として▽斐伊川放水路の建設▽尾原・志津見ダムの建設-とともに国が進めている事業。国は三つのうちどれが欠けても島根県東部全体の治水効果は発揮できないとしている。

インタビューする松江工業高校新聞部員の皆さん
 大橋川コミュニティーセンター 国と県と市が共同で運営している施設で、水害から松江市を守る方法を市民とともに考える施設。また、昭和50年に発表された「斐伊川・神戸川治水計画」について説明する施設でもある。松江市向島町、電話0852・28・3621。

 大橋川周辺の動植物 国土交通省出雲河川事務所の調査で、生息する動植物は5000種近くに上り、このうち254種の希少種が確認されている。環境省のレッドデータブックで「絶滅危惧(きぐ)【1】)類」に指定されているズイムシハナカメムシなどが含まれている。同事務所は、川底掘削や拡幅の改修事業を行った場合の環境に与える影響は、来春以降に公表するとしている。

 新聞部紹介
 松江工業高校新聞部は、3年生3人2年生1人という4人で活動しています。日ごろの活動は、毎月1回発行を目標として新聞を作り、卒業式や学園祭などの特別な行事のときは、号外を発行しています。現在4人という少人数で活動していて取材や編集作業などとても大変なのですが全校生徒をはじめいろいろな人に読んでもらえるような新聞作りを心がけています。

 取材後記
 今回の新聞作りでは、松江の治水対策の一つである大橋川の改修のことを書くこととなりました。全くと言っていいほど治水のことを知らなかったので治水のことを理解できるか不安でしたが、コミュニティーセンターの見学、島根大学副学長の高安克已先生へのインタビュー、7月の洪水の浸水場所の見学などによっていろいろと学ぶことができて良かったです。またインタビューは初めての体験だったので、いい経験になりました。
 (松江工業高校新聞部員=戸家雄基、小林桃子、福島美佐子、小林渉)


2007年1月7日 無断転載禁止

こども新聞