石見銀山遺跡2例目の鉄鍋炉を確認

鉄鍋炉の一部と確認された破片。中央縦に走る亀裂から左側5ミリが鉄鍋の断面。その左には灰吹きの灰が付着している=大田市大田町、市役所
 今夏、世界遺産に登録される大田市の石見銀山遺跡見つかった鉄片を、16世紀末から17世紀初めの最盛期、銀精錬の灰吹き法に使われた鉄鍋の一部と確認したと、奈良文化財研究所の村上隆上席研究員が9日、同市役所で発表した。鉄鍋炉の発見は2例目。銀生産の最終工程で純度を高める際に用いられたとみられ、当時の技術を示す貴重な資料。10日のシンポジウムで報告される。

 破片は、縦7センチ、横6センチ、厚さ5ミリ。市の発掘調査で2002年、仙の山山頂東側の尾根を造成した竹田地区の精錬施設で出土した。

 同遺跡の科学調査を進める村上氏は、昨秋から年末に破片を分析。内側に灰吹きの灰が詰まっていた跡を見つけ、蛍光X線分析で、破片の上部と比べて下部で10倍の銀と鉛を検出し、灰吹き法の鉄鍋炉と断定した。

 周辺の土からは同製法に使われる骨灰に含まれていた動物の骨片も検出。鉄鍋の破片約50点が見つかったことから、煮炊き用の鋳鉄製の鉄鍋(直径約30センチ)1個が使われたとみられる。

 鉄鍋炉は朝鮮半島や佐渡の文献に記され、竹田地区北西の石銀地区で1997年、同時期の完形品1個が国内で初めて発見された。今回が全国で2例目。鉄鍋炉以外では同遺跡で、土で作った製錬炉跡が百カ所以上見つかっている。

 村上氏は「鉄鍋炉は銀の純度を高めるなど最終工程近くで使われたのではないか。出土品が科学的に検証された意義は深く、銀山の価値を高める資料となる」と話した。

 研究成果は10日午後1時半から、同市大田町のあすてらすで開催されるシンポジウム「ここまでわかった石見銀山」で報告される。


2007年2月10日 無断転載禁止