石見銀山遺跡GW終了 検証・パークアンドライド方式

 今夏、石見銀山遺跡の世界遺産登録を目指す大田市は、パークアンドライド方式を柱とした石見銀山方式の観光客の受け入れを黄金週間に初めて実施。官民挙げて取り組んだ結果、昨年同時期に生じた渋滞が解消されるなど成果が上がった半面、来訪者が観光坑道に集中する課題も浮き彫りになった。期間中の取り組みを検証する。

最多の入り込みを記録した4日、龍源寺間歩を訪れ解説を読む観光客ら=大田市大森町
 「やって良かった。評価は70-80点」。大森町自治会協議会の松場大吉副会長(53)が7日、肩の荷を下ろしたような表情で話した。

 石見銀山方式の受け入れ態勢は、住民生活と遺跡を守りつつ、観光客の利便性を図るために、市と同協議会などが1年間協議して練り上げた。同町の石見銀山駐車場に400台の駐車スペースを用意して観光車両を収容し、バスで町並みなどに移動してもらう仕組み。当初、来訪者の目安を1日2000人とし、制限するとしたが、事業者などの批判もあり制限しなかった。

▽家族連れに好評

 期間中の入り込み客は、昨年より13%増の5万2000人。市の集計では、ピークは4日の9000人で、昨年を2000人上回った。

 同方式の最大の成果は、代官所前広場から銀山公園に至る旧県道の渋滞が解消されたことだ。今年は昨年のようにバスが身動きできない事態が生じず、4日に住民が救急車を呼んだが支障なく搬送された。

 官民が協働し、受け入れに工夫を凝らす場面も随所にみられた。

 鉱山遺跡として唯一公開している龍源寺間歩を目指す来訪者が増えた際、市と同協議会が急ぎ3つのモデルコースを仕立てて、駐車場でバスに乗る観光客を誘導し、分散化を図った。また、住民30人が道案内やごみ拾いをし、今年は観光客のごみのポイ捨てや民家の戸を開けてのぞくケースはほとんどなかった。

 パークアンドライドでは、「不便で一度来たら二度と来ない」との苦情もあったが、一方で山梨県甲斐市の主婦守屋真知さん(28)は「町並みに車が入らず、子どもが安全に歩けた」と評価するなど、家族連れらに受け入れられた。

▽大半は素通り

 ただ、分散化を図ってもなお龍源寺間歩の入場者が昨年の1・7倍の1万6690人に増え、観光客が集中した。同所に至る間に清水谷製錬所跡などの史跡があるが、情報不足から大半は素通りだった。

 森林浴に浸りながら散策する観光客が、バスの排ガスを煙たがる光景もみられ、自然環境を保護する上でも電気自動車などを導入する必要性も浮上。さらに、銀山の核で戦国時代から銀を採掘した本谷地区を巡る観光客はほとんどなく、世界遺産の価値を知らせる上で今後に宿題を残した。

 大田市では月内に町民集会を開いて意見を聞く考えで、和田亮販売流通課長(51)は「問題点を分析して改善し息長く来訪者を受け入れるシステムをつくりたい」と話した。

2007年5月8日 無断転載禁止