石見銀山遺跡インタビュー 大田市教委・大国晴雄部長

「早期の登録に向けて、精いっぱい努力する」と決意を新たにする大国晴雄部長=大田市大田町、大田市役所
 今夏の世界遺産登録に、「黄信号」がともった石見銀山遺跡。島根県とともに登録準備を進めてきた地元・大田市は、戦略の再構築を迫られることになった。今、何を考え、なすべきなのか-。市石見銀山課の初代課長を六年間務めるなど、二十年以上、同遺跡に携わってきた市教育委員会の大国晴雄部長(51)に聞いた。

 最終審査へ最大限努力

 -「登録延期」勧告に対する率直な感想は。

 「地元としては、最大限の努力をしてきたつもり。残念ではあるが、基準に足りない部分があるのなら、引き続き努力する。悲観はしていないし、楽観もしていない」

 -最終審査を行う六月末のユネスコ世界遺産委員会まで、どう動くか。

 「文化庁・外務省を通して、外交面で、同委員会を構成する国へ理解を求めていく。その中で、地元として提出できる新たな情報やサポートなどがあれば、一カ月半、精いっぱい取り組む」

 -研究面を中心に、五つの課題が指摘された。

 「価値証明については、きちんと準備をして提出したという気持ち。何をもって『物証』とするか、『さらなる調査研究』が何を指すのか、分からない部分が多い。今後詳しいリポートが示されるので、県、文化庁と協議、分析し、対応を考えたい」

 -市や、地元が進めてきた準備への影響は。

 「大久保間歩の公開や、ガイダンス施設の整備、電線の地中化などの事業は、計画通りに進める。官民の石見銀山協働会議で検討してきた観光客の受け入れ態勢などにも、引き続き取り組む。世界遺産が目的ではなく、登録を契機に、銀山を『地域の宝として、未来に引き継ごう』というのが、本来の思い。パークアンドライドなど、住民生活と文化財が共生する活動を、それぞれの課題を乗り越えながら、推進する」

 -登録を既定路線のように受け止めていた市民、業界も多い。

 「審査を経なければならないとはいえ、確かに、イメージでは『今夏登録』の期待感があった。市民には、勧告の評価結果を、何らかの方法で丁寧に説明する必要がある。ただ、『延期は駄目』『登録ならバラ色』という単純な話でないことは、理解してもらえていると思う。今も『世界遺産登録を目指す』という方針なので、対外的なPRや、観光・産業振興での姿勢には何ら変わりはない」

2007年5月14日 無断転載禁止