石見銀山 注目されるイコモス最終勧告

 世界文化遺産の登録に影響を与える国際記念物遺跡会議(イコモス)の評価が、登録の可否を最終判断する国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会までに上方修正される可能性があることが、分かった。イコモスは当初の勧告に対する反論書を分析し、その内容によって勧告を修正する余地を残しており、イコモスが「登録延期」とした石見銀山遺跡(大田市)について、遺産登録を目指す島根県は、反転攻勢に期待を強めている。

 石見銀山遺跡は今月十二日、イコモスがユネスコに提出した評価報告書で、世界遺産として価値証明が不十分な「登録延期」と勧告され、五つの問題点が指摘された。

 「登録延期」は、四段階あるイコモス評価のうち三番目の勧告で、世界遺産委員会での年内登録に黄色信号が点滅した。

 だが、島根県教委のその後の情勢分析で、イコモスの評価が世界遺産委員会の審査冒頭に報告される最終的な勧告までに、上方修正された事例が多くあることが分かった。

 ユネスコが、増加する世界文化遺産を抑制する傾向にあることから、古い事例は参考にならないものの、近年をみても二〇〇四年には、石見銀山遺跡と同じくイコモスの当初勧告で「登録延期」とされながら、最終的には「登録」と勧告された事例が三件あり、そのいずれもが同年の世界遺産委員会でも「登録」と結論づけられた。

 より今年の状況に近い〇六年は、当初に登録延期と勧告されたドイツの「レーゲンスブルクの旧市街とシュタットアムホフ」が、最終的に登録と勧告され、シリアの「シリア城郭群」は、当初の情報照会が登録に格上げされた。

 このほか、モーリシャスの「アアプラヴァシ・ガット」は、当初も最終もイコモスから登録延期と勧告されながら、世界遺産委員会の判断で登録に格上げされている。

 ユネスコは世界遺産登録への審査を強化する一方で、事前にイコモス評価を関係者に公表し、反論の機会を与えている。

 イコモス勧告の変化は、こうした流れを反映したものとみられ、指摘された課題の説明や、遺産価値評価に対する反論がより重要性を増しているため、島根県教委は「国と連携して世界遺産委員会までに、石見銀山遺跡の価値をさらに強く訴え、今年の登録を目指したい」としている。

2007年5月17日 無断転載禁止