イコモス評価書の概要判明

 世界遺産登録を目指す大田市の石見銀山遺跡に登録延期の勧告を出した国際記念物遺跡会議(イコモス)の評価書の概要が十八日、明らかになった。五つの主な指摘のうち三点は価値基準に問題ありとし、沖泊港や銀山街道の保護管理に言及したことも分かった。文化庁と島根県、大田市は分析を進め、世界遺産の価値を持つことを訴える意見書に生かす。

 評価書での指摘内容は(1)完全性(2)真実性(3)比較研究(4)価値基準(5)保存管理-の五つの観点から行われており、英語の原文を入手した文化庁と県教委が、翻訳作業を進めていた。

 既に明らかになっている指摘のうち、▽東西交流の歴史に多大な影響を与えたことを証明する詳細な物証が示されていない▽独特の伝統的技術による銀生産に成功した重要な考古学的遺跡と証明するにはさらなる調査研究が必要-などの三点は、価値基準から問題視したが、「遺跡の0・1%しか発掘調査されていない」などと記した程度で、推薦書の内容に踏み込むような具体的な理由は挙げられていない。

 アジアの他の鉱山遺跡との比較研究に関する情報の不十分さは比較研究で、国指定文化財の範囲拡大は完全性で疑問視。コンクリートで沖泊港の景観が損なわれていることや途切れたまま保存されている銀山街道などは、真実性と保存管理の面で課題とした。

 島根県教委はイコモスの評価内容がほぼ掌握できたことから、文化庁や大田市教委と協議した上で、意見書は「事実誤認に対する反論」「説明の補足」「指摘事項への対策」の三つの柱で構築していく方針を決めた。

 十六日に続き、来週も東京で三者が協議。月内にも意見書を仕上げて、国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会の議長国や国内外の専門家に送るほか、月末に石見銀山を訪れるユネスコ日本代表部の近藤誠一全権大使に手渡す考え。

 県教委は「外務省中心の外交努力と文化庁による技術面でのサポートに対し、県と市も共通認識を持ち、最大限の努力をしていきたい」とする。

 評価書は、イコモスが一月中旬にパリで各遺跡ごとにまとめ、十二日にユネスコに提出。ユネスコ世界遺産センターを通じて伝達され、文化庁が要旨を発表したが、評価書全文は六月末からの同委員会まで非公開。

2007年5月19日 無断転載禁止