イコモス評価書への意見書協議

 世界遺産登録を目指す石見銀山遺跡について、文化庁と島根県、大田市が一日、登録延期を勧告した国際記念物遺跡会議(イコモス)の評価書に対する、追加情報をとりまとめた。英文へ翻訳して各国への説明材料に使うほか、国連教育科学文化機関(ユネスコ)への提出を目指す方針。

 東京都千代田区の文化庁で、三者の担当者が協議した。追加情報は、評価書に対する日本政府の見解をまとめたもので、補足説明などで構成。勧告の各指摘について具体的論拠や写真などの資料を添え、登録の是非を最終判断する世界遺産委員会の構成国や専門家に理解を深めてもらう素材集としての意味合いを持つ。

 具体的には、遺跡の調査研究が不十分との指摘に対し「必ずしも単純にすべてを掘り出す必要はなく、戦略的な発掘調査を行っている」と、遺構の保存を優先する日本の調査姿勢を強調。遺跡の選定範囲や保存管理体制への指摘は「遺構状況のモニタリング調査の実態を示し、銀山街道の連続性を高めたり、年限を決めて国の文化財指定の範囲拡大の方向性を出す」とした。

 分量は数十ページに及び、文化庁記念物課の岩本健吾課長は「ユネスコの舞台で論戦できる材料は積みきった」と強調。推薦書で伝わらなかった価値を再補強する。

 ただ、協議内容や追加情報は非公開。岩本課長は「積極的に公にすることで政治的活動と受け止められかねない」と、登録に向けた取り組みの舞台が外交交渉へと移る中、世界遺産委員会への悪影響を懸念。追加情報の活用法を含め、ユネスコ日本政府代表部や外務省と調整すると説明した。

2007年6月1日 無断転載禁止