取材班・飯南高校新聞部 私たちと田舎

 少子高齢・過疎化、働く場の確保など、さまざまな問題を抱える「田舎」。私たちの故郷も例外ではなく、これらの現象が顕著だ。私たちの住む地域のこれからを考えるため、飯南高校生徒162人と教職員33人に、アンケートを実施した。

 「好き」が80%超 自然豊かな郷土愛す

 「飯南町は田舎か」という問いに生徒96%、先生100%が「田舎」と答えた。では、「田舎とはどういう所か」。生徒の第1位は「山に囲まれている」、2位が「田んぼが多い」、3位が「空気がきれい」。教職員の1位は「都会から離れている」。ほかは生徒と同様の意見だったが、4位に「人間関係が濃い」もあった。

 「田舎が好きか、嫌いか」では、「好き」が生徒の87%、教職員の86%。「嫌い」が生徒13%、教職員14%。両者とも田舎にあまり悪いイメージがなく、圧倒的に田舎愛好者が多くて驚いた。

 「好き」と答えた人の理由は、両者とも1-3位に「水・空気がキレイ」「自然が豊か」「のどかでゆとりがある」が入り、自然豊かな土地柄を愛する人が多いことが分かった。「嫌い」な理由の上位は、生徒は「買い物をする場所がない」「遊ぶところが少ない」など。教職員は「交通が不便」「雪が多い」「仕事がない」で、生徒に比べ生活に根ざした現実的なものが多かった。

 「飯南町にあったらいいもの」を自由記述で答えてもらったところ、生徒は大型デパート、書店、ファミリーレストラン、カラオケボックスなど娯楽施設が目立ったが、「今のままでいい」という意見も4人いた。教職員は図書館、スポーツ施設、ショッピングセンター、循環バス、映画館など。「職場」など切実なものもあった。

 「将来、最終的に暮らすなら田舎か、都会か」は、田舎が生徒61%、教職員93%。都会が生徒37%、教職員7%。大多数が田舎を選んだ教職員に対し、生徒は4割近くが都会に住みたい、と答えた。田舎が「好き」と答えた生徒の中には、将来は都会に住みたいと考える人がたくさんいて、「嫌い」と答えた教職員の中には、最終的に田舎暮らしを望む人がいるという、一見矛盾した結果が出た。

 しかし、都会を選んだ生徒が挙げたのは、「仕事が多い」「便利」「進学するから」など、将来の生活や目標を考えた上でのやむを得ない理由が多かった。教職員で田舎に住むと答えた人の中にも、「医療問題の深刻さを考えると不安」という意見があった。

 飯南町には町営の診療所と病院があるが、診療所は診療時間が限られ、病院も診療科によっては医師が常駐していない。わが校の生徒の中にも、急なけがや病気で広島県の三次市や雲南市、出雲市の病院に通院する者もいる。さらに、バスの本数が少ないなど通院の手段も限られ、大変不便だ。

 都会の騒がしさを嫌って田舎を選んだ人も多く、田舎と都会、どちらで暮らすにも問題があり、よりよい環境をつくる必要性をあらためて感じた。

 アンケート結果を見て、多くの飯南高生が郷土愛に満ちていてうれしかった。だからこそ、私たちは愛すべき故郷に押し寄せている問題をどう解決していくか、誰よりも考えなければならない。田舎だからこそできる町おこし、地域のネットワークの強化、世代を超えていろいろな人が集まることができる施設など、さまざまな提案をし、皆で町を盛り上げていくべきだと感じた。(2年・明見駿まとめ)


生徒たちのインタビューに熱心に答える山碕英樹飯南町長=飯南町役場
 山碕英樹町長インタビュー「若者が住みたい町に」

 飯南町をより良くするためにどのような取り組みをしているか、山碕英樹飯南町長に聞いた。(1年・藤原輝規まとめ)

 ―飯南町の課題は何か
 「人口が年々減少し、特に若者の割合が少なくなっているので、若者の定住促進と、産業を振興させ、働く場を広げることです」

 ―対策は
 「銀山街道などの歴史的遺産、森林セラピーなどきれいな水や空気を生かした、都会にはない田舎の持ち味を前面に出していきたい。特に若者が、田舎は嫌いだと思いながら住むのではなく、飯南町が好きだから、積極的に住みたいと思えるような町づくりをしていかないといけない」

 「町を支えるにはいろいろなことに秀でた、一流の人間が地域にいることが大切。例えば山に関する知識なら誰にも負けないとか、自分の持ち味を生かして『かっこいい』生き方をする人が増えてほしい」

 ―アンケートで医療面への不安の声があったが
 「病院は経営が厳しく、医師や看護師も不足している。これは全国的な問題で、国、県を挙げて対策を考えています。ぜひ地元の若い人に医師や看護師を志してもらい、飯南町の地域医療を担ってほしい」


 部活動紹介
 飯南高校新聞部は3年生1人、2年生6人、1年生4人で活動しています。小規模な学校で、他の部活動と掛け持ちしている人も多く、新聞部を主として活動している人は少ないのが現状です。しかし、顧問の先生とともに皆で協力し、楽しく和やかに活動しています。今年の夏は全国高校総合文化祭島根大会の総合開会式の司会進行を任されることになり、新聞製作に加えてアナウンスの練習も行っています。本番も迫り忙しい毎日ですが、両方の活動を頑張っていきたいと思っています。(2年・桐原理紗)


 取材後記
 今回、全校対象のアンケートや町長へのインタビューなど、普段の部活動ではなかなかできない経験をしました。テーマ決定から白熱した討論となり、皆が納得して取り組めたと思います。町長との対面は初めてで緊張しましたが、終始和やかな雰囲気で良い話をたくさん聞くことができました。慣れないことも多く、苦労もありましたが、無事記事が完成して大きな達成感を味わえました。今回の経験を基に、今後の活動をより充実したものにしていきたいと思います。(1年・佐々木あんな)

2007年6月30日 無断転載禁止

こども新聞