夏の高校野球・鳥取大会 回顧

 米子市民球場を舞台にした第89回全国高校野球選手権鳥取大会は16日から26日まで熱戦を展開。春の大会上位のシード校がベスト4からすべて姿を消す混戦模様の中、境が主戦の粘りの投球と堅守で勝ち上がり、9年ぶり7回目の甲子園行きを決めた。

 境優勝の原動力は右横手のエース山本。4連続完投勝利で、防御率は1・00と抜群の安定感。低めの制球がさえ、対戦相手は凡打の山を築いた。

 打線は長打こそ少ないが、好機を確実に生かす勝負強さが光った。犠打やエンドラン、そして次の塁を積極的に狙う走塁と、練習の成果をうかがわせるプレーも目立ち、鳥取商や倉吉北など難敵を次々と下した。

 旋風を巻き起こしたのは、準優勝の倉吉総合産。初戦の倉吉西戦で2003年の創部以来初の勝ち星を挙げると、一気に決勝まで駒を進めた。

 2年生エース福本は、右下手からの緩急自在の投球で今大会最多の694球を投げきり、チームの躍進を支えた。打線は4番の佐藤、代打の切り札小谷らの勝負強さが際だった。

 昨年に続く決勝進出は逃した倉吉東だが、1番真山が3試合で2三塁打4打点と存在感を示した。投手陣ではリリーフとして坂根が粘りの投球。特に準々決勝の鳥取西戦では4回無失点の粘投ぶり。延長戦での勝ち越しを呼び込んだ。

 昨夏覇者の倉吉北は準決勝で境に敗退。西村、宮里など昨夏の甲子園経験者を抱え、戦力は充実していたが、特待生問題で春の県大会辞退するなど、直前の実戦不足が響いた。投手の二本柱の一人篠塚は故障で出遅れたのが響き、本領発揮には至らなかった。

 春優勝の鳥取西はベスト8敗退。宮城、壹岐など好打者をそろえたが、頼みのエース小畑が攻略された。鳥取城北の1年生投手中尾は1回戦で倉吉北相手に8回1失点。敗れはしたが、今後に期待を抱かせた。大会屈指のスラッガー米子松蔭・中村は2回戦で本塁打を放ち、評判通りのパワーを見せた。

 大会全体を見渡せば投高打低。圧倒的な強さを持つ大本命がいない中、堅守でミスのない野球を見せたチームほど、上へ勝ち進んだ。特に境の総失策数は3、倉吉総合産は4と安定。計算できるバックの存在が、大量得点を期待しづらい両校の打力を補った。

 鳥取県勢は夏の甲子園では03年に八頭が1勝を挙げて以降、3年連続で勝ち星がない。境は県大会出場25校の代表として、練習で鍛えたしたたかで堅実なプレーを発揮し、まずは初戦突破の朗報をもたらしてほしい。

優勝旗を先頭に閉会式で行進する境の選手たち

2007年7月28日 無断転載禁止

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