石見銀山の逆転登録の秘話披露

まちづくりを進める上で歴史を学ぶ大切さを述べる西村幸夫東京大学教授=大田市大田町、あすてらす
 世界遺産に登録された石見銀山遺跡を多角的に学ぶ石見銀山学の開講記念公開フォーラムが22日、大田市のあすてらすであった。登録に尽力した西村幸夫東京大学教授が同遺跡の劇的な逆転登録の源流を作った秘話を披露。市民ら120人に熊野古道や白川郷などの先行事例から成否を学び、まちづくりに生かす大切さを説いた。

 同遺跡の推薦書作成に携わった西村教授は「世界文化遺産登録とその後のまちづくりのあり方」と題し講演。国際記念物遺跡会議(イコモス)前副委員長の経験から1月ごろ、イコモスの登録延期勧告情報を入手。近藤誠一ユネスコ日本政府代表部大使に3月、自然と共生した鉱山は世界になく、逆転の論理として「環境は一言で世界遺産委員会に出席する外交官にも分かりやすく、世界にうける」と助言した、と明かした。

 その上で、参考事例に国内の他の文化遺産の現状を報告。熊野古道では行政と企業が連携し、企業の森づくりや3000万円の遺跡の維持管理費を生み出す仕組みを紹介。一方、白川郷では合掌造り家屋と水田がセットの文化的景観が壊され危機にひんしていると例示。「石見銀山は各地の良い点を学び、悪い点は避けてほしい。混乱はあったが、うまく滑り出しアジアの人が学びに来る場所になってほしい」と望んだ。

 続くパネルディスカッションでは、各地で地域資源の活用に取り組む事例を紹介。出雲市平田町の木綿街道で、女性たちがにぎわいを創出する「ひらた蓬(よもぎ)の会」の平田明子代表は「活動を通じ初めて町の歴史を知った。石見銀山でも町の生い立ちを知ることが誇りや心の糧となる」と強調した。

2007年12月22日 無断転載禁止