鏝絵巡り 質、量ともに群抜く

 世界遺産・石見銀山遺跡の楽しみ方は間歩、まち並み、街道などいろいろある。この中にぜひとも加えたいのが「鏝(こて)絵」巡りだ。作品は日本全国、山陰地方どこにでもあるが、石見地方の鏝絵は質、量ともに群を抜き、職人たちは石見左官と呼ばれている。
1長福寺 2蓮教寺 3渡辺家 4駅前駐車場
5宮崎公園 6川島家 7林家 8山根家
9中田家 10ふれあいの森公園 11西性寺
12安養寺 13西住寺 14高山会館
15満行寺(馬路)  16琴ケ浜会館
17井沼田家(屋内) 18厳島神社(屋内)
19三島家 20安楽寺 21安田家

 鏝絵は壁塗りが本業の左官職人が、仕事のお礼で描いたり、寺社に奉納したりした。作品の中には国会議事堂や最高裁判所、帝国ホテルといった日本の近代建築に残るものもある。技術と職人気質に満ちた石州左官たちの作品は、一見の価値がある。

 今回は200カ所、300点以上の鏝絵を調査研究した大田市の「まちなみ探偵団」の福間祐子さんに世界遺産のまち、大田市でできる鏝絵巡りのお薦め個所を紹介してもらった。

 紙面でこれまで紹介できなかった温泉津の厳島神社の本殿内には、北前船の絵馬や龍、波ウサギなど5点の作品がある。作品は屋内にあるものがあるので、事前に連絡をとってから出掛けたい。

 また、まちなみ探偵団は、これまでに調査した中から約80カ所、百数十点をカラー写真と解説で紹介した「鏝なみはいけん」を来年1月末に発刊することにしている。B5判、111ページで予約価格は1600円。詳しくは渡部孝幸さん(電話0854・82・5640)まで。





【双龍】大田市仁摩町の西往寺本殿の正面。1885(明治18)年、安田鹿一と児島嘉六の作品。立体的で迫力ある姿は見るものをうならせること請け合い。「双龍」の左には「金毛九尾の妖狐」(1903年・安田伊三郎作)、右には歌舞伎などで知られる娘道成寺のクライマックスシーンを再現した「安珍清姫」(同、安田伊三郎作)が並ぶ(13)

【竹林に虎】大田市水上町の中田家。1933(昭和8)年、荻原春市の作品。作品は2階の外壁にあり、常緑樹の庭木の間から見える。右には「月にウサギ」の作品がある(9)

【恵比寿(えびす)】大田市温泉津町の三島家。大正年間、三島健治の作品。温泉津駅前から車で1分足らず。表通りに面しており、笑みを浮かべた豊かな表情の恵比寿さんも今では薄黒くすすけてしまっている(19)

【鳳凰(ほうおう)】大田市大森町の西性寺の経蔵。左官の神様といわれた松浦栄吉(仁摩町馬路出身)の1919(大正8)年ごろの作品。上部の壁にはこのほか「牡丹(ぼたん)」「菊」の作品がある。大森の町並みの中心にあり、石見銀山観光とともに訪れる観光客も多い(11)

【竹林に虎】大田市波根町の長福寺の経蔵。明治時代の作品だが作者は不明。境内左側、入り母屋造りの経蔵の屋根の下、三角の狭いスペースにある。反対側には「龍」の作品もあるのでお見逃しなく(1)

【里山と海】大田市大田町、大田市役所前の宮崎公園公衆トイレ。邑南町生まれの品川博さん(兵庫県加古川市在住)が2001(平成13)年に制作した作品。大田市駅前駐輪場の「石見の四季」(品川清志、福太郎共作)など多数の作品がある(5)


【竹林に虎と龍】大田市長久町の蓮教寺本殿の正面。地元の左官職人、森山孫一の1903(明治36)年ごろの作品。左側に虎、龍は柱をまたぐ形で中央と右に分けられている(2)

2007年12月28日 無断転載禁止