大久保間歩のコウモリ 岩肌に数千匹の集団

ユビナガコウモリ
日本産のコウモリでは最も大きなコロニーをつくる。今回の調査で見つけたコロニーは約1・5メートル四方に、2千数百匹がすし詰め状態になって冬眠していた=写真はいずれも、石見銀山遺跡の大久保間歩
大久保間歩
豊かな自然に恵まれている大久保間歩のコウモリの中には、山口県の秋芳洞からの飛来も確認されている。夏場は繁殖地に移動するのでいなくなる
調査
真っ暗な間歩の中で懐中電灯の明かりを頼りに一匹一匹数える。岩肌の数カ所に見える黒いシミのような物体がコウモリ
起こされ、不機嫌?
あまりにもアップで迫ったため歯をむき出し、にらみ付けるユビナガコウモリ
 石見銀山遺跡(大田市大森町)で最大の坑道、大久保間歩の中でコウモリたちがコロニーをつくって冬眠している。以前から間歩の中にコウモリが生息していることは研究者の間では知られていたが、非公開だったため一般にはあまり知られていなかった。

 今回は、コウモリの研究者として知られる島根県三瓶自然館(大田市)の大畑純二主席学芸員らスタッフの、コウモリ調査に同行した。

   コロニー形成し冬眠

 大畑さんが大久保間歩のコウモリの調査を始めたのは、二十年以上も前から。過去の調査では八千匹以上が確認された年もあったという。この冬は昨年十二月九日に、初めてコウモリの冬眠が確認され、徐々に数を増し年末の調査では約二千八百匹が確認された。

 種類はユビナガコウモリ、キクガシラコウモリ、モモジロコウモリの三種類。ユビナガコウモリはコロニーをつくるのが特徴で数百、数千匹の集団が真っ暗な洞穴の中で岩肌に張り付いている様子は、異様な雰囲気を漂わせる。

 さらに今年の調査では、国の絶滅危ぐ種に指定されているテングコウモリも四匹確認された。

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 昨年、大久保間歩は一般公開に向けて環境が大きく変わった。入り口の三分の一以上をふさいでいた土砂が取り除かれた。間歩の中には落石防止の柵や照明灯が取り付けられ、内部が見学できるようになった。

 さらに今春から予定される一般公開が始まると、これまで以上に環境の変化が予想される。大畑さんは「羽があるコウモリは、環境の変化によって一瞬のうちにいなくなってしまうかもしれない」と話す。

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 アップで迫ったコウモリたちの表情は、どう見てもかわいいとは言えない。吸血鬼とかドラキュラのイメージがどうしても重なり、嫌われ者のような存在だ。

 しかし、実際のコウモリはハエ、ガ、蚊など小さな虫を大量に食べ、しかも夜行性のため日中に目にすることはほとんどない。人間と共存している生き物だ。観光振興と環境保全が両立していくことを願うばかりだ。

2008年1月21日 無断転載禁止