遺跡保存へ「歩く観光」を 黄金週間対応で間歩への路線バス運休

無料ガイドツアーに参加し、石見銀山ガイドの会のメンバー(右)から石見銀山遺跡の概要について説明を受ける観光客=大田市大森町
 世界遺産の大田市大森町の石見銀山遺跡は二十六日から、登録後初の黄金週間に入る。市は期間中、歩く観光を前面に打ち出し、銀山地区で路線バスを運休する交通実験を初めて実施。入り込み客を過去最高の七万八千人と予測する中、市と地元は、来訪者が遺跡の魅力に触れる期待と、ピーク時の混乱への懸念が交錯しながら同週間を迎えようとしている。

 「苦情が出るだろうが、遺跡と住民生活を守り、持続可能な観光客の受け入れ態勢を築くための対策と説明したい」。市産業振興部の和田和夫部長が表情を引き締める。

 登録で急増した観光客を人気スポットの龍源寺間歩に運ぶ路線バスの排ガス、騒音が住民生活を脅かす事態を想定。市は二十六日から五月末まで、同間歩-銀山公園間二・三キロの路線バスを運休。来訪者に歩いてもらう。

 このため、同区間内に二カ所、休憩所を設置。観光車両を集め、駐車させる石見銀山世界遺産センターと町並みを結ぶ路線バスの運行は、三十分から十五分間隔に短縮し、速やかに来訪者を運ぶ。

 歩く観光への移行に伴い、滞在時間の長期化と駐車場の回転率低下を予測し、ピーク時の五月の同週間後半は、センターの駐車場四百台に加え、仁摩町で五百台の駐車場を確保。シャトルバスを運行させる予定だ。

 一方、地元住民らは、観光客をもてなす、さまざまな工夫を凝らす。

 石見銀山ガイドの会は四月から一日二回、銀山公園前から同間歩を巡る無料ガイドツアーを実施するとともに、同間歩近くに定点ガイドを置き、観光客に説明している。

 和上豊子会長は「銀山観光を一過性のブームに終わらせないために、きめ細かい案内と銀山の歴史を詳しく知ってもらう努力が必要」と説く。

 大田市観光協会の田原博事務局長は「期間中、どれだけの車が入り込むか分からず、不安もあるが、駐車場などの警備に力を入れ、事故を防止したい」とする。

 大森町自治会協議会は、観光客に好印象を持ってもらおうと、トイレの場所などを聞かれた際の説明資料を全戸配布し、丁寧な対応を促す。

 同会の松場大吉会長は住民のホスピタリティーがリピーター確保の鍵を握るとし「市と地元が連携して穏やかさとにぎわいの両立を目指し、銀山ならではの観光スタイルを構築したい」と話す。

2008年4月24日 無断転載禁止