(1)小児救急の受診/緊急要する呼吸困難など

子どもの救急外来受診について話す田中雄二小児科部長
松江市立病院 田中雄二小児科部長

 緊急治療が必要な患者に夜間や休日でも対応する救急外来。小児では、全国的に救急外来受診件数が増加しています。救急外来の受診では、緊急度を判断できる知識が落ち着いた対応につながります。松江市立病院小児科の田中雄二部長に、救急医療が必要な症状や家庭での注意点を聞きました。

 -子どもの救急外来受診が増えていると聞きましたが、現状は。

 「夜間、休日を問わず、救急外来を受診する子どもが増加しています。しかし、診察結果からみると、約九割は緊急を要する症状や病気ではありません。インフルエンザの流行時期などは救急外来が二時間待ちになることもあり、あきらめて帰宅される患者もあります。重症者の処置は急ぎますので、症状によって診察順を入れ替え、重症者を優先的に診察する病院もあります」

 -救急外来の受診が必要なのは、どのような症状のときですか。

 「子どもの場合、呼吸困難の有無、最低限必要な栄養や水分が口からとれているか(脱水症状の有無)、けいれんの有無が、救急医療の判断基準になります。発熱の有無が重要と思われがちですが、熱の高さだけでは緊急度の指標にはなりません。呼吸困難など、平熱であっても緊急性を要する場合があります」

 -呼吸困難を起こす病気について教えてください。

 「子どもで呼吸困難が生じる代表的な病気には、気管支ぜんそくや声帯に炎症が起こるクループがあり、呼吸のときにゼーゼー、ヒューヒューという音がします。気道に異物が入って呼吸困難になる場合もあり、急なせき込みや顔色の悪化は要注意です。呼吸困難のときは、懸命に呼吸しようとし、呼吸とともに肩や胸、腹、小鼻が動くのが目立ちます。呼吸に集中するため、母乳を飲まない、食欲がない、といった症状も伴います」

 -では、脱水症状になるのはどのようなときですか。

 「水分やエネルギー源となる糖分が口からとれない状態が続くと、脱水症や低血糖になります。呼吸困難やけいれんも脱水症状を伴うほか、感染性胃腸炎や髄膜炎など嘔吐(おうと)が起こる病気、口内炎や長期の発熱が続く場合にも起こります。脱水症では尿の量が減り、ぐったりした状態になります」

 -家庭で気をつけることは。

 「けいれんの際、舌をかまないように口の中に物を入れる保護者がいますが、けいれんで舌をかむことはまずありません。窒息の危険性もありますので、口に物を入れるのはやめましょう。基本的には、呼吸困難や脱水症状、けいれんの三つの症状のいずれかがあれば、急いで受診することが大切です」

2008年5月27日 無断転載禁止