(6)高齢者の口の病気/入れ歯や舌を清潔に

「普段から口の中の清潔を心掛けることが大切」と話す石倉信造歯科口腔外科科長
 松江市立病院 石倉信造歯科口腔外科科長

 年齢を重ねると、粘膜や唾液(だえき)の変化などによって口の中の病気が現れやすくなります。口の中の衛生状態の悪化が引き金になることがあるため、日常生活での予防が大切です。松江市立病院歯科口腔(こうくう)外科の石倉信造科長に、高齢者に多い病気について聞きました。

 -高齢になって、口の中の病気が出やすくなる理由は。

 「年齢とともに口の中の粘膜は衰え、洗浄作用もある唾液の量が減ってきます。粘膜が傷つきやすくなり、乾燥することで、いろいろな病気が起こりやすくなります。入れ歯で粘膜が傷つくことがあるほか、抗圧薬、抗不整脈薬、向精神薬の副作用や、心的な要因で口の中が乾燥するケースも見られます。高齢者の受診率は年々増加し、口腔外科でも約二十年で倍増しています」

 -どのような病気が多いのですか。

 「口腔カンジダ症が多い病気の一つです。口の中に常にいるカンジダ菌という真菌(かび)の一種が、粘膜の表面で増殖する病気で、白い苔(こけ)のようなものがつきます。体の免疫機能が低下する病気や口の中の不衛生によって菌が増殖し、ピリピリ、ヒリヒリした感覚が生じ、ひどくなると焼けるような痛みが出ます」

 -口腔カンジダ症の治療法は。

 「抗真菌剤の内用液を使うと一-三週間で治ります。しかし、常在菌のカンジダ菌は再び発生するため、口の中の衛生状態が悪ければ再発する可能性があります。薬の使用に加えて、カンジダ菌が繁殖しやすい入れ歯や舌苔(ぜったい)、歯茎の腫れた部位の消毒を行い、口の中を清潔に保ちます」

 -ほかに注意すべき病気は。

 「口の中の病気では白い苔のようなものができる場合が多く、粘膜が弱り細胞障害によって起こる扁平(へんぺい)上皮がん、発がん率が10%といわれる白板症、扁平苔癬(たいせん)が挙げられます。これらは、口腔カンジダ症と病態が似ていますが、白いものがガーゼなどでぬぐって取れる場合はカンジダ菌による症状と判別できます」

 -口の中の病気を予防するため、普段から気を付けることは。

 「予防には口の中の清潔が最も重要です。歯磨きやうがいのほか、入れ歯は真菌に有効な薬で消毒し、舌の汚れも取り除くことが大切です。寝たきりで口の中の手入れが難しい場合には、口内環境を整える錠剤もあります。歯周病の治療や入れ歯をきちんと合わせることなども心掛けましょう」

2008年5月28日 無断転載禁止