(7)血圧の管理が重要に/老化と脳動脈瘤

脳動脈瘤の治療法などについて話す瀧川晴夫脳神経外科副部長
 松江市立病院 瀧川晴夫脳神経外科副部長

 脳動脈瘤(りゅう)は、くも膜下出血の大きな原因となる病気です。加齢に伴う脳動脈の変化が要因の一つとされており、脳ドックを受けて脳動脈瘤が見つかるケースも増えています。松江市立病院脳神経外科の瀧川晴夫副部長に、脳動脈瘤について聞きました。

 -脳動脈瘤ができる原因は。

 「脳動脈の壁の一部が、こぶのように膨らむ病気です。高血圧や遺伝要因のほか、老化によって血管壁が弱くなるとできやすいといわれています。血管の分かれ目部分にできる場合が多く、脳動脈瘤のある人は全体で約5%、七十歳以上で約10%といわれています。血圧に耐えきれなくなって膨らんだ部分が破裂すると、脳を包んでいる膜の下に出血が広がるくも膜下出血になります」

 -脳動脈瘤の症状は。

 「脳動脈瘤は多くの場合、大きさが十ミリ以下で、破裂しなければ症状が出ないことがほとんどですが、大きくなって神経を圧迫すると、視力障害や四肢まひが出ることがあります。脳動脈瘤破裂の大部分は前触れもなく起こり、突然の激しい頭痛や意識障害などくも膜下出血の症状が現れます。出血による脳の圧迫が強いと、呼吸停止から亡くなる場合があります」

 -検査方法は。

 「近年、脳ドックでも行われる磁気共鳴画像装置(MRI)による血管撮影で、未破裂の脳動脈瘤が見つかるケースが増えてきました。造影剤を使ったコンピューター断層撮影(CT)での血管撮影は、動脈を立体的に見ることができ、確定診断の判断材料になります。カテーテルによる血管撮影もあり、検査は症状に応じて使い分けます」

 -破裂した脳動脈瘤の治療は。

 「破裂した脳動脈瘤からの出血が止まっても、放置して再出血すると重症になる可能性が高いため、再出血を防ぐ手術が望まれます。開頭クリッピング術は、脳動脈瘤の付け根をクリップで止める方法で、高い再発予防効果があります。カテーテルを使い、脳動脈瘤の中に細いコイルを詰めるコイル塞栓(そくせん)術は、日本でも十年ほど前から広がってきました。手術法は、脳動脈瘤のある場所や大きさなどに応じて選択します」

 -脳動脈瘤が未破裂の場合は。

 「手術しないでおいて破裂したときの危険性と、手術をした場合の合併症などのリスクを検討し、患者の希望も考慮して手術するかを決めます。小さい脳動脈瘤は破裂率が低く、手術をせずに経過観察するケースもあります」

 -日常生活で注意することは。

 「脳動脈瘤があっても普段の生活に特別な制限はありませんが、血圧管理は重要です。高血圧であれば降圧剤を服用し、血流の変化を起こしやすい喫煙を避け、過度なストレスを受けない生活を心掛けましょう。突発的な頭痛が起こったときは、脳動脈瘤の破裂が疑われます。早く受診し、的確な診断につなげるためにも、医師に対し、突然の痛みであることを伝えることが大切です」

2008年5月28日 無断転載禁止