(8)子どもの中耳炎/風邪の予防が大切

急性中耳炎の治療や注意点について話す榎本卓朗耳鼻いんこう科科長
 松江市立病院 榎本卓朗耳鼻いんこう科科長

 子どもの耳の病気で多いのが急性中耳炎です。幼児期に起こしやすく、繰り返す場合もあるため、しっかりと治療することが大切です。松江市立病院耳鼻いんこう科の榎本卓朗科長に子どもの中耳炎について聞きました。

 -中耳炎はどのような病気ですか。

 「鼓膜の内側にある中耳に炎症が起きて膿(うみ)がたまる病気です。風邪をひいたとき、鼻やのどの炎症に続いて起こることが多く見られます。小学校入学までに60-70%の子どもが一度は急性中耳炎にかかるといわれています。プールや風呂で耳に水が入って急性中耳炎になることは、まずありません」

 -子どもが急性中耳炎になりやすいのはなぜですか。

 「急性中耳炎は、特に三歳以下に多くなっています。子どもは鼻の奥に通じている耳管が太くて短いことや、鼻腔(びくう)との角度が水平に近く、ウイルスや細菌が中耳に入りやすいためです。のどや鼻の粘膜の抵抗力が弱く、風邪をひきやすいことも挙げられます」

 -中耳炎の種類と症状は。

 「子どもの中耳炎は、急性中耳炎と滲出(しんしゅつ)性中耳炎が大半です。急性中耳炎は激しい耳の痛みや発熱、耳だれが特徴で、乳児はぐずったり、しきりに耳を触ったりすることがサインになります。滲出性中耳炎は鼓膜の奥の中耳腔で膿が液体(滲出液)になってたまる病気で、急性中耳炎が治りきらずに発症するケースが多く見られます。強い痛みや発熱は伴いません。子どもの難聴の最も多い原因ですが、難聴の程度が軽い場合が多く、発見が遅れることもあります」

 -どのような治療をしますか。

 「急性中耳炎は抗生物質や消炎剤を服用します。鼓膜の腫れがひどく、強い痛みがある重症の場合は、鼓膜を少し切って、たまった膿を出すと治りが早くなります。鼓膜は切っても、通常は数日でふさがります。滲出性中耳炎で聞こえがかなり悪い場合も、鼓膜を切って滲出液を吸い出す処置を行うことがあります。耳に悪い影響を与えている鼻やのどの病気も併せて直すことが大切です」

 -受診の際の注意点は。

 「近年は、抗生物質への抵抗力を持った細菌(薬剤耐性菌)による急性中耳炎が増加しており、繰り返してかかる子どもが増える原因になっているとみられています。急性中耳炎が治っても、滲出性中耳炎として残っていることがあるほか、滲出性中耳炎の治療が不十分だと、時に難聴を生じる真珠腫性中耳炎などになることがあります。耳鼻科で完治が認められるまで治療することが重要です」

 -普段、気を付けることは。

 「急性中耳炎は風邪に続いて起こることが多いため、風邪の予防が大切です。鼻のかみ方が悪いと細菌を耳の方へ送り込んでしまうことがありますので、片方ずつゆっくりとかむようにしましょう」

2008年5月28日 無断転載禁止