(14)高齢者の姿勢

円背姿勢を予防する運動。ひじを脇につけて、手を両側へ広げるように動かす
適度な運動で「円背」予防

 人の背筋は、若い人だと真っすぐに伸びていますが、年齢を重ねるとともに曲がってきます。高齢者に多く見られる背筋の形は、胸のところで大きく曲がる円背(えんぱい)です。

 円背姿勢の人は、体のバランスをとるためにあごを突き出し、股(こ)関節やひざ関節を曲げるようになります。この姿勢の原因は、加齢による筋力の低下、背骨と背骨の間にある椎間板(ついかんばん)の変性や周りの靱帯(じんたい)の緩み、骨の変形などが考えられています。

 さらに、性別や就労時の作業内容、生活環境なども影響していると思われます。このような姿勢では、バランスが悪くなって転倒しやすくなったり、腰痛を招いたりするほか、あごを突き出しているために食べ物の飲み込みが悪く、誤嚥(ごえん)を引き起こすことにもなります。

 また、胸の部分も広がりにくくなるため、ひどくなると呼吸器系の障害を起こす場合があります。高齢者の姿勢の変化は気付かないうちに徐々に悪くなり、矯正が難しくなってきます。普段から生活環境や習慣を見直し、適度な運動をすることが大切です。

 今回は、円背姿勢を予防するための運動を紹介します。

 (1)背もたれのあるいすに背中をつけて腰掛けます。

 (2)両側の手のひらを上に向け、ひじから先が床と平行になるようにひじを曲げます。ひじを脇につけて手先を前に向けます。

 (3)息を吸いながら、ひじを脇につけたまま手を左右に広げるように動かします。あごは突き出さないようにやや引く感じで行います。胸が広がって両側の背中の上部にある肩甲骨が寄るのが確認できます。

 (4)四秒ぐらい広げたままで息を吐きながら戻します。

 無理のない範囲で一日十回程度、何回かに分けてもよいので行ってみてください。

 (松江総合医療専門学校理学療法士科専任講師・内田賢)

2008年6月4日 無断転載禁止