(9)子どもの夏の風邪/睡眠とり体力低下防いで

夏の風邪の症状などを説明する田中雄二小児科部長
 松江市立病院 田中雄二小児科部長

 小さい子どもを中心に夏の風邪が流行する季節です。暑さなどで体力が落ちたときにかかりやすくなるため、普段から予防を心掛け、正しい対処法を知っておくことが大切です。子どもの夏の風邪について、松江市立病院小児科の田中雄二部長に聞きました。

 -夏に流行する風邪と冬の風邪の違いは。

 「原因となるウイルスの種類が異なり、症状も違います。冬の風邪はインフルエンザウイルスやRSウイルスなどが原因で、せきや鼻水を伴うことが多いのが特徴です。一方、夏の風邪はエンテロウイルスやアデノウイルスなどが原因で発症し、せきを伴うことはまれです」

 -エンテロウイルスが原因で起こる夏の風邪は。

 「手足口病とヘルパンギーナが代表的で、五歳以下の乳幼児がかかります。コクサッキーウイルスやエコーウイルスなどエンテロウイルスの仲間は腸で増殖し、便で排出されたウイルスが手を介して感染します。発病から一カ月くらいは、便からウイルスの排出が続きます。ウイルスの種類によっては、発熱や頭痛、嘔吐(おうと)を伴う髄膜炎を起こし、重症化する場合もあります」

 -手足口病、ヘルパンギーナの症状と治療法は。

 「手足口病は名前の通り、手や足、口に楕円(だえん)形の小さな水疱(すいほう)ができます。高熱が出るのはまれで、栄養が取れていれば特に治療の必要はなく、水疱は一週間前後で自然に治ります。口の中の水疱が痛くて食事ができない場合は、入院して点滴を行うことがあります。ヘルパンギーナは、突然の高熱とともにのどの粘膜に水疱や潰瘍(かいよう)ができる病気です。乳幼児はのどを痛そうにし、口に入れたものを吐き出すことがありますが、栄養摂取が可能なら数日でよくなります」

 -アデノウイルスによる夏の風邪は。

 「急な高熱と結膜の充血が主な症状の咽頭(いんとう)結膜熱(プール熱)が代表的です。高熱は五日前後続きますが、しっかり栄養を取り、安静にしていれば治る病気です。アデノウイルスは型によって、へんとう炎や咽頭炎、流行性角結膜炎(はやり目)、気管支炎、肺炎、腸炎などの原因となり、秋から冬にかけても流行します。近年、のどの粘膜をぬぐって行うアデノウイルスの迅速検査が普及し、診断に役立っています」

 -夏の風邪にかからないため、家庭で気を付けることは。

 「ウイルスの感染を予防するため、うがいや手洗いを心掛けましょう。夏の風邪のウイルス自体は冬の風邪ほど強くありませんが、体力が低下するとかかりやすくなります。しっかりと睡眠をとって規則正しい生活を送ることが大切です」

2008年6月18日 無断転載禁止