(10)乳房の病気/月1回自分でも触診を

乳がんの検査や治療法について解説する芦田泰之血管・胸部・内分泌外科部長
 松江市立病院 芦田泰之血管・胸部・内分泌外科部長

 日本では、女性のがんで患者数が最も多いのは乳がんです。検査や治療の技術は進歩しており、早期に発見して治療するためにも、検診の受診や乳がんへの関心を高めることが大切です。乳がんなど乳房の病気について、松江市立病院血管・胸部・内分泌外科の芦田泰之部長に聞きました。

 -多く見られる乳房の病気は。

 「乳房は皮膚や脂肪組織、乳腺組織などからなり、乳がん、乳腺線維腺腫、乳腺症が乳腺の三大疾患といわれています。中でも乳がんは一九九六年以降、日本人女性の悪性腫瘍(しゅよう)罹患(りかん)率の第一位になり、乳がん死亡率が年々高くなっています」

 -乳がんの症状や特徴は。

 「女性ホルモンに反応して大きくなる性質の乳がんが多く、乳房に硬いしこりができるほか、皮膚がくぼんだり、赤くなったりすることもあります。最近はマンモグラフィーという乳房のエックス線撮影が進歩し、触診では分からないくらい小さな状態でがんが見つかることも珍しくありません」

 -乳がんの検査、診断方法は。

 「乳房にしこりがあった場合は、視触診や超音波検査、マンモグラフィーを行い、がんが疑われると、針を使って細胞や組織(細胞の塊)をとって詳しく調べます。コンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)でも病変や転移の有無を調べます」

 -治療法は。

 「がんを切除する外科治療が中心ですが、乳がん治療の一部に過ぎません。放射線治療や内分泌療法(ホルモン療法)、化学療法(抗がん剤治療)を組み合わせて治療します。以前は乳房すべてや脇の下のリンパ節を切除するのが通例でしたが、現在はがんがある個所を部分的に切除する乳房温存手術が多く行われています。脇の下のリンパ節切除も必要最小限で行います。現在、乳房温存手術は約半数で、ほかは乳房全体やリンパ節の切除が必要です」

 -切除した後の治療は。

 「乳がんの性質を分析し、女性ホルモンに反応して大きくなるかや、がん遺伝子の有無を調べ、術後の化学療法や内分泌療法などの治療方針を決めます。がんの性質は人によって違うため、個人個人に合った治療を行います」

 -ほかに多い乳房の病気は。

 「乳腺線維腺腫は二十-三十五歳の比較的若い人に多い良性腫瘍です。硬くてよく動くしこりですが、痛みはなく、閉経後には自然に収縮します。乳腺症は四十-五十歳の女性に多く、凹凸のある境界がはっきりしないしこりができます。以前はがんになる病変と考えられていましたが、現在では否定されています」

 -普段の生活の注意点は。

 「乳がんの危険因子としては、経口避妊薬の使用や閉経後のホルモン補充療法、初経年齢が早いこと、閉経年齢が遅いことなどが挙げられています。乳がん検診では、マンモグラフィーを併用した検診を一度は受けてみましょう。自分で乳房を触って調べる自己検診を月一回程度行い、気になるしこりが見つかったら病院を受診しましょう」

2008年7月16日 無断転載禁止