(21)アキレスけんの障害

アキレスけんの障害を防ぐには、ふくらはぎの筋肉と合わせたストレッチングが大切
適切な靴使用で予防効果

 アキレスけんの「アキレス」とは、ギリシャ神話に登場する英雄の名前ですが、「強いものが持つ最大の弱点」という意味を持つことでも知られています。アキレスけんは、ふくらはぎの二つの筋肉が一つに合わさり、かかとの骨に付いている体の中で最も大きいけんです。

 アキレスけんの障害は、ランニングを中心としてスポーツ種目全般にわたり、すべての年齢層や競技レベルで発生します。

 最も多いのは、痛みや腫れを生じるアキレスけんの炎症です。運動でアキレスけんに大きな負荷が繰り返されることによって微細な組織の断裂や破壊が起き、炎症につながります。ふくらはぎの筋肉が硬い状態のままで運動をした場合に発生しやすいため、予防では、ふくらはぎとアキレスけんの十分なストレッチングが重要です。

 また、適切なシューズの使用で、かなり予防できることが分かっています。シューズのヒールカップ(かかと部分の硬い囲み)がしっかりしていて、運動の際にかかとがシューズの中で必要以上に遊ばずに固定され、靴底のすり減っていないものが、アキレスけんへのストレスを軽減します。

 底が硬すぎるシューズは足指の付け根の踏み返しを妨げ、けり出しの直前にアキレスけんに大きな負荷をかけることになるため、シューズ底の柔軟性も求められます。

 予防にはランニングの環境も重要です。アキレスけんは、上り坂ではけり出しを強くするためにより大きな力を出す必要があり、下り坂では前足部の着地までの時間が長くなるため、より大きな負荷がかかります。毎日のジョギングも平地で行うとより安全です。

 アキレスけん炎では、動き出しに痛みがあっても、動いたり走ったりしているうちに痛みが軽くなります。これは、動きによってアキレスけんの温度が上昇し、一時的に柔軟性が増しただけで、決して治ったわけではないので注意が必要です。早期に治療すると回復が良好ですので、痛みなどを感じたら受診しましょう。

 (松江総合医療専門学校理学療法士科専任講師・南場芳文)

2008年8月13日 無断転載禁止