(12)老化に伴う泌尿器の病気/水分の過剰摂取に注意

尿失禁や排尿困難について説明する角文宣泌尿器科科長
松江市立病院泌尿器科 角文宣科長

 年齢を重ねると、泌尿器の病気も増え、尿失禁などで生活に支障を来す場合もあります。老化による病気だからとあきらめず、早めの受診で治療することが大切です。松江市立病院泌尿器科の角文宣科長に、老化に伴う泌尿器の病気について聞きました。


 -高齢になると泌尿器にはどのような病気が現れますか。

 「膀胱(ぼうこう)は筋肉が袋状になったもので、尿をためる機能と収縮して排出する機能があります。老化により膀胱の筋肉量が減って収縮力が弱まり、排尿困難が起こります。尿道を締める括約筋の筋力低下で生じやすいのが尿失禁です。男性は尿道を取り巻く前立腺の肥大によって排尿困難が多く見られ、頻尿や尿失禁は女性に現れやすい傾向があります」

 -尿失禁の症状は。

 「主な尿失禁として、急な尿意で我慢できずに漏れる急迫性尿失禁と、くしゃみをしたときや重い物を持ったときに尿意なく漏れる腹圧性尿失禁があります。急迫性は、少しの尿がたまっただけで尿意を我慢できなくなる過活動膀胱や膀胱炎で見られ、膀胱の過剰収縮が原因です。腹圧性は骨盤底筋の筋力低下により生じます」

 -どのような治療をしますか。

 「タイプと漏れる量によって治療は異なりますが、内服治療と手術が一般的です。過活動膀胱では、膀胱の緊張を和らげる薬の内服治療でかなり改善が期待できます。腹圧性尿失禁に対しては、尿道周辺の筋肉を鍛える骨盤底筋体操が効果的です。改善しないときは、尿道を固定する手術を行う場合があります」

 -頻尿の治療法は。

 「頻尿は一日に十回以上の排尿がある場合とされていますが、水分摂取量や発汗状態で変わります。いつ、どれくらいの量の尿が出たかを排尿記録につけてもらい、総量と回数を見て診断します。心血管系疾患や糖尿病などが原因であれば、これらの病気を治療します。一日尿量が多ければ水分を控える指導を行い、泌尿器に原因がある場合は内服治療を行います」

 -排尿困難の原因と治療法は。

 「男性の場合は、前立腺肥大症や尿道狭窄(きょうさく)が多い原因です。脳梗塞(こうそく)など他の病気による膀胱の収縮力低下も原因となります。超音波検査や検尿で原因を調べ、まず内服治療を行うことになります。効果が見られないときは手術や自己導尿法を行うこともあります」

 -普段の生活での注意点は。

 「泌尿器科として尿量を増やすために水分摂取を勧めるのは、尿路結石か尿路感染の場合くらいです。水分の多量摂取による夜間頻尿は寝不足などで生活のリズムを乱し、生活の質の低下にもつながるため、のどが渇いて我慢できないとき以外は、夕方から夜間の水分摂取は控えるべきです。水分の過剰摂取が原因でない場合は、専門医に相談することが大切です」



2008年9月24日 無断転載禁止