肩の障害

肩の障害を予防し、能力を発揮するためには、投球やスマッシュの時の肩の位置に注意が必要
総合的な強化でけが予防

 野球の投球やバレーボールのスパイク、テニスやバドミントンのスマッシュ動作のとき、利き腕の肩は非常に酷使されています。肩の付け根から指先まで一メートルに満たない人の腕から、一秒にも満たない時間で最大時速一五〇キロにも及ぶ球が投げられた上、腕は制動され静止します。自動車の加速と急停止に置き換えて考えると、腕を強く振る運動は非常にストレスが大きいことが分かります。

 投球を繰り返すスポーツ選手で夜間や朝方に肩の痛みが出る場合、重症度、緊急度が高いと考えてください。肩の奥にある腱板(けんばん)という部分の損傷が疑われます。この筋はインナーマッスルともいわれ、ボディービルダーのように筋肉を増やすトレーニングだけでは改善しません。無駄な筋肉は腕を振り抜くスピードを遅くし、パフォーマンスを下げるだけでなく、肩を壊してしまいます。適切な負荷やポジションでの筋力トレーニングが必要になります。

 肩の障害を予防し、より高い動作能力を発揮するためには、生まれながら持っている肩の能力を取り戻すことが一番の近道です。専門的には「ゼロポジション」といわれる肩の位置で動作を行うことになります。簡単に説明すると、長いひもを腕に持ち、頭上でぐるぐる回すつもりで腕を振ってください。その位置が肩のゼロポジションになります。ボールを投げるとき、スパイクやスマッシュを打つときは、その高さで行ってください。

 これらの動作は力んで力を込めるのではなく、腕を振り出す前のバックスイング動作を十分に意識して行うこと、反対側の腕を意識して体に引きつけることが秘訣(ひけつ)です。

 このような体の末端の動きは、全身運動の一部であるということです。足の指の力から股(こ)関節の柔らかさ、腹筋と背筋のバランスなど総合的に強化することが、肩の運動能力向上とけがの予防につながります。

 (松江総合医療専門学校理学療法士科専任講師・南場芳文)

2008年10月8日 無断転載禁止