(13)若年者のうつ病/気持ちにゆとりと柔軟さ

20-30歳代のうつ病の傾向を説明する今岡雅史診療部長
松江市立病院精神神経科 今岡雅史診療部長

 精神疾患の中で、近年は若い世代のうつ病(気分障害)受診者が増えており、症状の傾向にも変化が表れています。松江市立病院の今岡雅史診療部長(精神神経科)に、若年者のうつ病について聞きました。


 -若年者のうつ病の傾向は。

 「二十年ほど前まで、うつ病は四十-五十歳代に最も多く、二十-三十歳代ではまれでした。しかし、三十歳代で少しずつ増え始め、ここ四、五年は二十歳代を含めて急増しています。松江市立病院でも、二〇〇五年八月から二年間のうつ病発症者は男女とも三十歳代が最も多くなりました」

 -三十歳代で増加する原因は。

 「良く言えば家族的だった日本の社会が変わって競争の激化や業務の効率化が進み、一人への加重が増していること、連帯意識が薄れていることなどが指摘されています。さらに、うつ病概念の拡大と精神科クリニックが増えて受診しやすくなったことも考えられます」

 -若年者のうつ病の特徴は。

 「気分が憂うつで意欲が出ないこと、食欲がなくなることなど多くの症状は他の年代と同じです。若年者に特徴的なのは、自分を責める傾向がある人の割合が四十歳代以上に比べて極めて低いことです。逆に、他の人を非難するといった、従来はなかった傾向が見られることもあります。社会状況や環境の変化で、世代による症状の違いが明らかになっています」

 -治療法などは。

 「休養と抗うつ剤による薬物療法が中心です。若年者で逃避的うつ病の場合は、自分の責任を促すことで症状が改善される場合もあります。職場復帰については、勤務時間を半日勤務など緩やかに始め、オーバーワークにならないことが重要です」

 -うつに陥らないためには。

 「うつ病発症者は、まじめできちょうめんな性格の人が多い傾向です。ゆとりを持ち、集団全体のことと自分のことのバランスに注意しながら、柔軟な考え方をするように心掛けることが大切です」

2008年10月22日 無断転載禁止