(28)肉離れと筋肉の打撲

肉離れ予防には、十分なストレッチングが有効。体を支えて姿勢よく立ち、ひざを曲げたまま太ももを後ろに引いて2分間維持する
準備運動で柔軟性高める

 運動によって起こる筋肉の痛みは何種類かに分けられます。例えば、サッカーやバスケットボールでの接触の際、相手のひざ頭が自分の太ももに強く衝突してしまう通称「モモカツ」などといわれる「筋肉の打撲症」、陸上の短距離走でスタート時や急に止まろうとした瞬間に、太ももの裏に起こしやすい「肉離れ」などがあります。

 筋肉の打撲症と肉離れは明らかに受傷時の違いがあります。前者には強烈な衝突がありますが、後者は打撲がなく自分の筋力で起きたけがといえます。

 このような場合、磁気共鳴画像装置(MRI)の検査を行うと、打撲症では体の深部で骨に近い位置に血の塊(血腫)が見られます。しかし、肉離れの場合は同じ検査をした時、筋肉と腱(けん)とのつなぎ目で、皮下の比較的浅い部分で筋肉の断裂や出血が起こっています。

 肉離れの部位を見極めるときには、注意しなければならないことがあります。立ったり動いたりするために出血した血液が下がり、実際のけがの部位よりも低い位置に皮膚の変色などが出る場合があることです。

 打撲によるけがを避けるのは難しいことですが、肉離れの予防にはいくつかの方法があります。寒くなる季節には、運動前のウオーミングアップに時間を多くかけて体温や筋肉の温度を最初から高くし、筋肉が伸びやすい状態にしておくことが大切です。特に肉離れを繰り返す人は、運動前後だけでなく、入浴中やその直後に痛めやすい部分の表裏、左右側のストレッチングを行い、筋肉と腱や、そのつなぎ目の柔軟性を高めておくとよいでしょう。

 一度、肉離れを起こしてしまった筋肉をストレッチングする場合は、一カ所について二分間行うなど、十分に時間をかけると効果が得やすいでしょう。

 (松江総合医療専門学校理学療法士科専任講師・南場芳文)

2008年11月19日 無断転載禁止