(30)筋力トレーニング(上)

立位での筋力トレーニング。目的とする動きに必要な力の入れ方と、その順序を意識すると効果的
目的とする動き意識して

 スポーツ選手のこの時季の課題は、来シーズンへ向けていかに体を鍛えるかです。その中で最も集中的に行われるものに筋力トレーニング(筋トレ)があります。競技力の向上に直結した筋トレは、どのような方法なのでしょうか。

 先日、中高生の部活動指導で講師として強調したのは「何を目的に筋トレをするのか」ということです。それを誤ってしまうと、部分的な筋トレで筋肉がつきすぎて体が重くなり、動きのキレが鈍くなってしまいます。

 筋トレは、体の動きを強化するという目的の技術トレーニングであり、単にどこかの筋肉を増やそうという感覚ではいけません。実際、運動をするときに、人の体には足の裏から胴体や手先へ向かって力が伝えられ、関節を順に動かしながら「下から押し上がってくる力の流れ」があります。

 例えば、高くジャンプしたいとか、ボールをもっと速く投げたいという目的の筋トレであれば、その動きと力の流れを意識した方法を選択しなければなりません。そのためには目標とするプロ選手の動きを繰り返しまねてみて、自分に足りないと感じる体の部分を見つけます。全身に及ぶこともあるかもしれませんが、その場合は、腹筋と股(こ)関節から筋力強化をするとよいでしょう。

 また、鍛えたい部分には筋トレと同時にストレッチングも行い、柔軟性を保ったまま筋力を強くすることも、けがの予防にとって重要です。

 座って、足の裏を浮かせて行うタイプの筋トレは部分的な筋の肥大には有効ですが、より動きに応用したい場合は、足の裏をつけて行う立位でのバーベル挙げなどの方法を用います。筋トレの際には、足の裏の地面からひざ、股関節、胴体、肩、ひじ、手首、指先と力が順に伝えられることを意識し、その動きが競技のどの動作に応用されるかを考えながら行うと、本格的なパフォーマンスアップにつながるでしょう。

 (松江総合医療専門学校理学療法士科専任講師・南場芳文)

2008年12月17日 無断転載禁止