(31)筋力トレーニング(下)

肩の能力を高めるトレーニング。ひじを曲げてゆっくりとゴムを引き、さらに遅いスピードで戻す
二層の筋肉バランスよく

 運動に欠かせない大きな関節を動かす筋肉は、二層構造になっています。体の表面近くにあり、皮下に触ることができるもりもりとしたアウターマッスルという筋肉の種類と、体の深い部分にあって運動の安定性や効率を上げるインナーマッスルの種類があります。どちらを強化するかによって筋力トレーニングの方法は異なり、二種類の筋肉をバランスよく強化することがポイントです。

 いずれも身体全体の安定に関係する腹筋などの強化を前提とします。例えば、胸にある大胸筋や背中の上部にある肩甲骨の周りのアウターマッスルを増強させると、バスケットボールで用いる両手を使ったチェストパス(胸の高さでのパス)の能力を向上させることができます。

 この強化によってNBAの選手が行うような、腹のあたりから出る低い軌道で飛距離の長いパスが出せるようになります。適切な重さのバーベルと、胸や肩甲骨周辺の柔軟性を組み合わせて行うのが望ましい方法です。

 また、同じボールを放つ運動でもイチロー選手のようなスピードとしなりを併せ持つ動きを基本とするタイプでは、肩のインナーマッスルの働きを高める必要があります。過負荷な重りを使った筋トレは球速が上がるどころか、肩を壊してしまうことが多いようです。

 肩の能力を高めるための初期トレーニングを紹介します。輪ゴムなどをつなぎ合わせてひも状にしたものを柱などに固定しておき、もう一方の端を持って横に立ちます。ゴムを持った腕のひじを九〇度に曲げて脇につけ、反対側の手でひじを支えながら、腕をゆっくりとおへその方へ引き、さらに遅いスピードで外側へ戻します。

 息をふーっと吐き出し、体の力みを取り除いた状態で、肩が回転するのを感じ取るように丁寧に行います。十-二十回程度から始めるとよいでしょう。能力を高めようとする部位や目的によっては、非常に軽い負荷でなければできない筋トレがあります。

 (松江総合医療専門学校理学療法士科専任講師・南場芳文)

2009年1月14日 無断転載禁止