石見銀山の英知学ぶダムシンポ

流水型ダムのシンポジウムで、自然環境と共生した石見銀山の歴史意義などについて話す仲野義文氏=益田市有明町、島根県芸術文化センター・グラントワ
 自然環境と共生した産業遺跡として注目され、世界遺産に登録された石見銀山から先人の英知を学び、河川ダム技術への応用を探るシンポジウムが十六日、益田市であった。行政やNPO法人など関係者約二百人が参加し、基調講演や討論を通して地球環境に優しい治水事業の未来を考えた。

 洪水時だけ貯水し、ふだんは水をためない国内初の流水型ダム・益田川ダム(益田市)を建設した島根県など、関係団体で構成の実行委員会が企画した。

 シンポでは、石見銀山資料館の仲野義文館長が「石見銀山から学ぶ自然との共生」と題して講演。製錬技術に廃棄物リサイクルや、鉱山技術・経営に植林など森林保全の考え方が採られていた史実を紹介。「自然に配慮した再生産システムが、四百年間続いた銀山の原動力になった」と述べた。

 討論は、益田川ダム整備計画などに携わった裏戸勉・松江高専名誉教授、角哲也・京都大大学院准教授、萱場祐一・土木研究所自然共生研究センター長ら六人で展開。低コストで建設でき、生態系への影響が少ないとされる流水型ダムについて、各専門分野の立場から課題と展望に言及した。

 この中で、各氏は自然共生型の鉱山開発を進めてきた石見銀山に着目。歴史の浅い流水型の検証やモニタリングの必要性などを強調した。

 県はシンポで指摘された課題を精査し、同型ダムを計画中の矢原川ダム(浜田市)や建設中の浜田ダム再開発(同)に生かす考え。

2009年3月16日 無断転載禁止