(36)スポーツ障害の予防

股(こ)関節の動きをよくするストレッチング。円を描くように腰を回転させると、より効果が上がる
自分の体知り変化を記録

 楽しく充実したスポーツ活動を続けるためには、まず、体の健康が整っていなければなりません。野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場した世界レベルの投手でさえ、投球数が制限されていました。同じ動きの繰り返しは体への負担が大きく、一度壊した軟骨や靱帯(じんたい)などが元に戻りにくいことを表しています。

 けがの予防の第一は、自分の体を知ることです。運動後、腰に違和感が出やすいとか、急に身長が伸びて柔軟性が低下した、といった変化があれば、その段階でスポーツ障害の予防を始める必要があります。けがが少ない選手になるためには、専用のノートを作り、身長や体重、立位体前屈などの測定値の変化、痛みの場所などを記録することが大切です。メモは、何年にもわたって、あなただけの貴重なカルテになっていきます。

 障害の予防に効果があるストレッチングは原則、体を温めてから行います。筋肉は粘土に似た性質を持ち、温めると伸びやすく、冷たいと伸びることができません。事前に行う軽いランニングや気温に合い、保温の効く服装を心掛けましょう。

 ストレッチングには、いくつかの種類があります。アキレス腱(けん)などを軽く弾ませて行うようなタイプでは、筋肉ではなく腱といわれる筋の部分への効果を狙います。深い呼吸に合わせて二十秒以上行えば、筋肉自体への効果が大きくなります。

 また、イチロー選手が脚を広げて体をねじるように動きながら行っているものは、柔軟性や関節の動きを総合的に行うダイナミックストレッチングです。目的に応じてストレッチングの方法を使い分けることが重要です。

 休むときはしっかり休み、動きたいときに動ける体づくりこそ、最高の結果や満足感を生み出し、生涯にわたりスポーツにかかわっていける人材づくりの基礎になります。

 (松江総合医療専門学校理学療法士科専任講師・南場芳文)

2009年3月25日 無断転載禁止