(37)高齢者の転倒予防(上)

転倒予防のために足先の動きを改善する体操。あおむけに寝て脚を組み、名前を書くように足先を動かす
ひざから下の筋肉強化を

 長寿は日本が世界に誇れることの一つです。長寿の理想は、健康な体のままで長生きをするということで、健康を保つためにはいろいろな方法があります。寝たきりになる代表的な原因として転倒による骨折があり、日常生活での転倒予防は、健やかに過ごすためにとても重要です。

 転倒してしまう場所は、屋外ではなく家の中が多く、しかも、古い家屋にある高い段差の上り口などでの転倒は実際には少なく、三センチ以内の小さな段差によって起こっています。慣れた場所でつまずいて転び、骨折を起こしてしまうのです。

 転倒を回避するために足先の動きを改善する体操は、朝、目が覚めた時に布団の中にいる段階から取り組むことができます。まず、布団から出る前、あおむけに寝たまま、脚を組みます。上に重ねた方の足先で、自分の名前を漢字でしっかりと書いてみます。二回ずつ、両足で行います。これによって、布団やベッドから出た直後の転倒を防ぐことができます。

 また、足首の筋肉の強化もポイントになります。筋肉の増強は若い人の特権ではなく、年配の方でも強化できることが医学的に証明されています。

 体中の力をつけることが一番なのですが、特に転倒の予防に役立つのは、足首を動かすひざから下の筋肉の強化です。そのための体操として、背もたれのあるいすなどにつかまって立ち、両足を肩幅程度に開いてゆっくりかかとを浮かします。そのまま三秒間止めたら、かかとをゆっくり下ろします。

 両足を平行にしたままで十回、内またにして五回、外またにして五回を一セットにして、一日一回行ってみましょう。つまずきの減少や、つまずいても転びにくい力をつけることにつながっていきます。

 (松江総合医療専門学校理学療法士科専任講師・南場芳文)

2009年4月8日 無断転載禁止