(38)高齢者の転倒予防(下)

布団から出る時は、枕元に置いた小物置きなどにつかまると安定して立ち上がれる
家に潜む危険減らして

 前回、転倒を予防するためには筋肉をつけると効果があるということを説明しました。ほかにも、生活の場(環境)を整備することで、転倒を少なくできます。意識を少し変えて家の中を見てみると、危険性のある個所が分かります。

 まず、玄関の上がり口に手すりはあるでしょうか? 手すりは実際に転倒を起こしてしまう前に取り付けなくてはなりません。仮に転倒しても、手すりを持ちながら転倒した場合は、骨折など重症なけがになることが減ります。トイレや風呂の手すりも同様です。

 さらに、滑りにくい床やバリアフリー(段差のない)のバスユニットにする▽着替え室にいすを置く▽リフォーム時などには横にスライドする戸に交換する-のがお勧めです。

 次に階段です。滑り止めはありますか? 体調不良で足元がフラつくときには無理をせず、座ったままの格好で階段を昇降することも安全につながります。

 また、布団から立ち上がる時は一度、よつんばいになって、何かにつかまって立ち上がれば、非常に安定します。ベッドの場合は、腰をかけて足の裏が床に十分に着く高さが望ましく、この姿勢に合った手すりを設置します。マットは、体を沈め過ぎないような硬さが安定に役立ちます。

 キッチンでは立ち仕事の時間も長くなるため、いすに座って家事ができるように配置換えを行います。食器洗い乾燥機などは、低い位置にある引き出しタイプだと、座って作業する時にひざや腰の負担がより少なく、長期的にみて転倒や腰痛のリスクを減らす効果があると考えられます。

 居間やリビングにも転倒の危険性が隠れています。正座の後、畳から立ち上がる際の転倒が多く見られます。この場合、いすやソファに座ってテレビなどを見ると良いでしょう。

 環境を整えることで、家の中に潜んでいる転倒の危険性を減らすことが可能です。大切な人のため、少し家の中を見回してみましょう。

 (松江総合医療専門学校理学療法士科専任講師・南場芳文)

2009年4月22日 無断転載禁止