(40)高齢者の腰痛(上)

床に座って脚を交差させ、上半身を回転させる体操。腰回り部分の柔軟性を高め、急激な腰痛の予防につながる
柔軟性上げ腹筋強化を

 腰痛症は、どの年代にも発生し、痛みの部位や原因もさまざまです。特に高齢者の場合、一度、腰を痛めてしまうと慢性化しやすい傾向があります。まずは、腰痛の発生を予防することが重要です。

 突然に起こる腰痛は、重い物を持ち上げたときや助手席に手をかけて車をバックさせるとき、介護のときなどに多く発生します。いわゆる、ぎっくり腰です。西洋では「魔女の一撃」などと呼ばれ、痛みは非常に強く、数日間、寝込んでしまう場合があります。これは背骨の周りにあって、体の深い部分にある筋肉が肉離れを起こしたり、背骨と背骨の間にある小さな関節がねんざしたりするための痛みです。

 このような急激な腰痛を予防するには▽腰の筋肉だけを使わないように生活習慣を改善する▽腰の周りや背骨、股(こ)関節の柔軟性を上げる▽腹部を取り巻き、腰を支える役割のある腹筋を強くする-ことが大切です。腹筋の強化が難しい場合は、一時的に腰の保護ベルトを使用することによって腰痛の発生を減らすことができます。

 重い物を持ち上げたり、動かしたりする際には、背中ではなく、股関節やひざ関節の力を使うのが基本です。低いところの物を持ち上げようと、曲げた背骨を一気に伸ばすような動きは、もってのほかです。物を持って立ち上がる際は、おなかに力を込め、背骨の角度を一定にし、脚の力を使って持ち上げる習慣を身につけましょう。

 腰回りの柔軟性は、体操によって向上させることができます。まず、脚を伸ばして床に座り、片脚を曲げて、反対側の脚の上へ交差させます。体をひねり、上になった方のひざの外側を、反対側のひじで押しつけ、顔も背に向けます。息をゆっくり吐き出しながら二十秒間続け、左右向き両方行います。毎日、入浴後に三回程度行うとよいでしょう。

 また、動かさなくてはならない重いものがあるときには、誰かに声をかけて手伝ってもらうと、体の健康の維持とともに心のふれあいにもつながるでしょう。

 (松江総合医療専門学校理学療法士科専任講師・南場芳文)

2009年5月20日 無断転載禁止