国の重文「辻が花染丁子文道服」に墨文字確認

「辻が花染丁子文道服」の実物大の写真展示スペース。6月から再現品が展示される=大田市大森町、石見銀山世界遺産センター
 世界遺産・石見銀山ゆかりの国の重要文化財・辻が花染丁子文道服(つじがはなぞめちょうじもんどうふく)の表地に文字が書かれていることがこのほど、再現品制作のための調査で確認された。専門家は、制作工程を指示したものとみている。再現品は六月一日から七月五日まで、大田市大森町の石見銀山世界遺産センターで公開される。

 道服は十六世紀末から十七世紀初頭に上級階級の武士が羽織として用いた。辻が花染丁子文道服は石見銀山遺跡の釜屋間歩を開発した鉱山師・安原伝兵衛が徳川家康から贈られたと伝えられ、清水寺(同市大森町)に奉納され、現在は京都国立博物館が保管している。

 再現は大田市が、所有する同寺の許可を得て約一千万円を投じ、京都の染色職人団体「染技連」に発注。制作のため昨年、同博物館であった調査の際、道服の表地に、墨で書かれた二種類の数ミリ大の文字が確認された。

 両袖などの「あ」とみられる文字は文様の縫い目合わせのため、文様内の「ひ」のような文字は鶸色(ひわいろ=黄緑色)を指定するための指示とみられる。

 同博物館の前工芸室長で関西学院大学の河上繁樹教授(日本染織史)は「制作指示のため書かれたのだろう。表地に書かれるのは桃山、江戸時代初期の道服では珍しくはない」と説明。当時の技法を用い約一年かけて制作された再現品について「オリジナルに迫る現在の職人の絞り染め技法の手仕事を見てほしい」と話している。

2009年5月30日 無断転載禁止