石見銀山の銀で鋳造された御公用銀

丁銀「博多御公用銀」を購入した中村俊郎さん=大田市大森町、中村ブレイス
 16世紀に石見銀山(大田市)で採掘された銀を使い鋳造され、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、戦費として使われたとされる丁銀「博多御公用銀(はかたごくようぎん)」を、同市大森町の義肢装具メーカー・中村ブレイス社長、中村俊郎さん(61)がこのほど購入した。28日に同町である同社主催の「石見銀山文化賞」表彰式で一般公開する。

 博多御公用銀は長さ約12・6センチ、幅約5・6センチ、重さ約166・9グラム。毛利氏支配時代に献納された銀で造られ、1回目の朝鮮出兵である文禄の役(1592-98年)の時期に出兵拠点だった博多で戦費支払いや褒賞のために使われたとされる。

 表面には「(博)多御公(用)」や鋳造年、鋳造責任者名とみられる「(文)禄二」、「中山与左衛(門)」の刻印などが確認できる。

 5月に東京で開かれた古貨幣市に出品され、貨幣商を通じて650万円で購入した。

 丁銀は取引の都度、切って使われたため、完全品は希少で、島根県内にある丁銀の完全品は、正親町(おおぎまち)天皇の即位に際し、戦国武将の毛利元就が献上した「御取納丁銀(おとりおさめちょうぎん)」など同県が所蔵する5点と、中村さんが2007年に購入した「萩葉古丁銀(はぎばこちょうぎん)」の計6点のみ。

 中村さんは「地元住民として、約400年ぶりに戻ってきたことがまずうれしい。世界の歴史に石見銀山の銀がかかわった証しに大森で保管したい」と話した。

2009年6月19日 無断転載禁止