(25)宍道湖のナゴヤサナエ 繁殖に最適最大の生息地

羽化したナゴヤサナエ。ヤゴの羽化殻につかまりしばらくすると大空に舞い上がった=出雲市園町
 ラムサール条約に登録され数多くの生命をはぐくむ宍道湖。この一帯を国内最大の生息地とするトンボのナゴヤサナエが、羽化の時期を迎えた。出雲市園町の宍道湖岸に何回か足を運び撮影に成功した。

 ナゴヤサナエは島根県の「しまねレッドデータブック」絶滅危惧(きぐ)■(ローマ数字の「2」)類に選定されている貴重な種で、宍道湖、斐伊川を生活の舞台にしている。

 島根大学生物資源科学部の星川和夫教授は「斐伊川の水は透明で底が砂地。産卵場所としてもヤゴの生息地としても過ごしやすい環境が整っており、羽化は宍道湖西岸がほとんどだ。まさに、この地域のスケールの大きな自然で繁栄していると言ってよい」という。

 トンボの多くは深夜から早朝に掛け羽化するが、ナゴヤサナエは昼間に羽化するので野鳥などの天敵に襲われやすい。羽化は7月上旬をピークに9月上旬まで。宍道湖グリーンパーク(出雲市園町)の豊田暁観察指導員は「見つけたらめったにないチャンスなので、手を触れずじっくり観察してほしい」と話す。

羽化が確認された宍道湖グリーンパーク前の宍道湖岸
 夏の日差しが照りつける午前、宍道湖岸の岩の上で羽化殻につかまるナゴヤサナエが目に留まった。羽化してしばらくたっているものの、羽はまだ白みを帯び神秘的な光景だった。

 しばらくして、目をぐるぐる回していると思ったら突然羽を広げ、そのまま垂直に、大空めがけ舞い上がった。


 宍道湖はラムサール条約に2005年に登録された。ナゴヤサナエは中型のサナエトンボ。日本の特産種で本州東北部から九州にかけて分布。成虫は全長57ミリ~64ミリで黄色と黒の反復的な模様と、腹部の先端が膨らんでいるのが特徴。


2009年7月27日 無断転載禁止