(26)三徳山の投入堂(MITOKUSANNONAGEIREDOU) 鳥取県三朝町 絶壁に収まる風格の堂

岩にすっぽり収まる国宝の投入堂。長い変遷の中で培われた風格が伝わって来る=鳥取県三朝町
 三徳山(鳥取県三朝町)の国宝・投入堂(なげいれどう)を訪ねた。雨上がりの午後、本堂裏手の事務所で入山受付を済ませ、「六根清浄」と書かれた輪袈裟(わげさ)を身に着けて、観光客の一行と一緒に奥の院を目指した。

 朱塗りの宿入橋を渡りカズラ坂や、木の根に沿って急斜面の山道を進み、断がいに設置された鎖をよじ登ると文殊堂に到着した。独特の舞台造りが、宙に浮いたように見える。

 尾根沿いの道を進み地蔵堂、鐘楼堂に立ち寄った。大自然との一体感が見事でスケールの大きさを感じた。少し休憩し鳥のさえずりを聞きながら牛の背、馬の背と呼ばれる尾根を力を振り絞って登る。納経堂、観音堂、元結掛堂を過ぎしばらくして角を右に曲がると、待ちこがれた投入堂が目に飛び込んできた。

 滋賀県から訪れた男性(62)は「世界遺産を目指していると聞き参拝した。全山いたるところに立派なお堂があり感動の連続だった」と話す。

 絶壁の中に収まる投入堂をじっくり眺めた。約1300年の間、風雪を耐えぬいた風格。堂の周りのこけむした岩肌が、時代を感じさせる。腰を下ろし岩に落ちる雨音に聴き入る。体は疲れていたが気持ちが和んでいくのを感じた。

 (写真と文は、本社報道部・小滝達也)



三徳山投入堂
 三徳山(標高900メートル)は鳥取県のほぼ中央に位置し、現在開山1300年祭が開催されている。平安時代に山岳仏教の霊場として栄え、信仰の中心となるのが天台宗の古刹(こさつ)・三仏寺(米田良中住職)。本堂には慈覚大師が安置したと言われる阿弥陀(あみだ)如来、大日如来、釈迦如来の三尊像が安置されている。

 三徳山は世界文化遺産を目指している。現在も鳥取県や三朝町民などで作る「三徳山を守る会」が中心になり根強い運動が展開されている。

 悪天候と積雪時は入山禁止。登山に不適切な服装や、一人での入山も許可が下りないので要注意。

2009年8月3日 無断転載禁止